SAPは米国時間1月20日、2017年の業績予測を下方修正した。ただし同社はクラウドコンピューティング事業への投資を続けており、この事業が2018年までにソフトウェア部門と肩を並べるまでに成長すると見込んでいる。一方、顧客とのやり取りを簡素化するためにサービス事業を改革する計画だ。
SAPの2014会計年度第4四半期(12月31日締め)の決算は、同社が数日前に説明していた概要からするとあまり驚きはなかった。SAPは同社のクラウドコンピューティング、そして「SAP HANA」のアナリティクス部門をアピールしてきている。なお前者は、ConcurやFieldglassの買収により強化が進んでいる。
SAPは第4四半期決算の電話会議と声明で新たな「中期展望」を明らかにした。
SAPは2017年に向け、同社のクラウド事業が成長を続け、2017年には35億ユーロから36億ユーロの範囲になる見込みだとした。2017年は総売上高が210億~220億ユーロとなる見込みで、この数字は220億ユーロに達するという以前の展望から減少している。同社によると、費用を除いた営業利益は2017年に63億~70億ユーロになる見込みだという。同社による以前の利益幅見通しはおよそ77億ユーロだった。
SAPは、同社のクラウド事業がより大きな成長をもたらし、最終的には予測可能性のより高い収入源となり、利益を押し上げると記している。また同社はクラウドおよびその関連サポートの売上高が2017年までにソフトウェア事業とほぼ肩を並べるようになり、2018年にはソフトウェア事業を追い越すことになると述べている。
SAPは2020年について、クラウドおよびその関連サポートの売上高を75億~80億ユーロ、総売上高を260億~280億ユーロと見込んでいるとした。また、2020年の営業利益は80億~90億ユーロとなり、クラウド関連の売上高は予測可能性のより高い販売に結びつくという。
SAPの5カ年の展望は興味深いが、大きな難題を抱え込むことにもなる。IBMも長期展望を提示しているが、アナリストの目を意識する結果、自らの選択肢を制約することになっている。SAPも同じ過ちをおかそうとしている。
SAPは2015年について、同社のクラウド事業が、ConcurとFieldglassの買収効果もあって86%増の19億5000万~20億5000万ユーロの売上高をもたらすと見込んでいるとした。こうした成長は為替レートが安定している場合のものだ。同社は費用を除いた2015年の営業利益が56億~59億ユーロになると予想している。
また顧客にとっては、SAPがサービス部門と顧客への対応方法を「大幅に簡素化」している点も重要だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。