右肩上がりで推移しているマーケティングテクノロジへの投資から最大のビジネス価値を引き出すためには、ITリーダーの一層の関与が不可欠――。ガートナー ジャパンが1月27日に発表した。
Gartnerの見解では、2015年にマーケティングをサポートするITリーダーは、マーケティング部門とこれまで以上に強固な関係を構築し、アーキテクチャや機能などのソリューションの評価、データの調達、アプリケーションポートフォリオの管理と整理統合、ソリューションの連携を支援する必要があるという。Gartnerは以下のように予想している。
2018年までに最高マーケティング責任者(CMO)と強固な関係を築く最高情報責任者(CIO)はマーケティングテクノロジ投資収益率を25%改善する
マーケティング領域ではテクノロジ投資が盛んであり、その投資はデジタルマーケティングの拡大とともに急速に増加し続けている。Gartnerの調査から多くの大企業、特に消費者向けに製品やサービスを提供する企業は、マーケティングをサポートする50以上のアプリケーションとテクノロジを有していることが明らかになっている。
そのようなポートフォリオを管理し、テクノロジから顧客価値を生み出すためには、より総合的で統合されたアプローチが必要になる。ただし、マーケティング部門がデジタルマーケティング領域で革新を遂げる可能性を損なうことがあってはならないと提言している。
2018年までにデジタルコマースにパーソナライゼーションを組み込む企業間取引事業者は最大15%の売上拡大を実現する
パーソナライゼーションは、買い手に「認められている」「正当に評価されている」「尊重されている」「効率的である」と感じさせることで、買い手と売り手の関係を強化する。今日の消費者は、認められ、尊重され、パーソナライズされたエクスペリエンスを得られることを期待しており、非効率性に対して寛容でない。一般的にサプライヤーとの関係がより長期に及び、支出もより高額になる企業の購入担当者であれば、こうした期待は一層高くなるという。
パーソナライゼーションで売り手は競争力を維持しながら顧客満足度やロイヤリティ、アドボカシ(支持)を高め、収益性を向上させることもできる。パーソナライズされたエクスペリエンスを得た消費者の支出は増え、企業間のデジタルコマース戦略にパーソナライゼーションを取り入れる企業でも、顧客企業の効率性を改善し、より良いカスタマーエクスペリエンスをもたらし、アップセルやクロスセル、購入額増加の可能性を高めることができるため、売り上げの拡大につながると説明している。
2018年にかけて全社的なデータ共有を伴わない“顧客の声(VoC)”施策は、顧客満足度とロイヤリティの評価を30%損なうことになる
VoC関連テクノロジは、ソーシャルメディアやアンケートから音声分析に至るまで、利用できそうな多様な顧客フィードバックソースをもとに集計、分析し、必要な対応を支援する。VoC関連テクノロジは、このようにして導き出された知見への対処から得られるビジネス価値を背景に、注目度が高まっている重点分野。ただし、VoCの責任の所在については、組織ごとに責任を担うさまざまな関係者がおり、現状では一貫性がないとの見方を明らかにしている。
ITリーダーはさまざまな事業部門に配備された各種テクノロジを把握し、一つの業務領域だけでなく顧客に視点を置いたより総合的な解決策を提供することで、企業での自らの重要性を実証できるとGartnerは説明している。それが可能な領域の一つがVoCである。究極的なIT部門の役割は、VoCを所有しているのがどの部門なのかに関係なく、全社規模でVoC施策のサポートに貢献することにあると提言している。