企業クラウド普及の鍵を握るOpenStackコミュニティー - (page 2)

Matt Asay (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-01-30 06:30

OpenStackにおける理論と現実

 CloudscalingのRandy Bias氏ほどOpenStackに詳しい人物はいないだろう。同氏はOpenStackの初期のパイオニア(そしてOpenStack Foundation設立時の理事)であり、OpenStackのあらゆる可能性とその限界を知り尽くしている。

 このため同氏が「OpenStackは自らの重みで自壊するリスクにある」と語っている以上、OpenStackを採用している人々は耳を傾けるべきだろう。

 Bias氏は最近のブログ投稿で、「基本的なインフラサービスに焦点を当て、6カ月というリリースサイクルで緊密に統合されたリリースを調達するというOpenStackコミュニティーの元々のビジョン」と、「OpenStackコミュニティーに内在する閉鎖的側面に加えて、『クラウド』という言葉に対して人々が抱く多種多様な期待」の間に発生している著しい緊張を指摘している。言い換えれば、OpenStackは名実ともにオープンなコミュニティーのなかで生まれる、相反する雑多な利益を調和させる道を模索しているが、本当に必要なのは「製品管理と製品戦略を実施するうえでの正真正銘のリーダーシップ」なのだ。

 あるいは、筆者が1年近く前の記事で書いたように、OpenStackのエンジニアリングやマーケティング、販売といった活動がプロフェッショナルなやり方で行われるようにするために、Red Hatのような有力ベンダー」を必要としているのだ。

 このようなリーダーシップがない場合、Packetでインフラを任されているDavid Laube氏のようにOpenStackの採用を検討している人々は、企業がクラウドに期待するような利便性をコミュニティーが必ずしももたらしてくれるわけではないという厳しい現実を肌で感じることになる。

 「1カ月かけて目を通してきた大量のドキュメントは、古くて使い物にならないか、不正確なものだという事実が明らかになった。このため膨大なドキュメントライブラリやWikiの記事、IRCのログ、コミットメッセージを取捨選択し、『真実が記された情報源』を探し出す必要に迫られた。そして基本を押さえた後、特長となる機能に存在する、さまざまな競合する仮定を確認する(「Xは機能するのか?」など)ためだけに長い時間をかけてPythonのデバッグをする羽目になった。これは時間のかかる作業だった」(Laube氏)

 Laube氏には、OpenStackへの理解を深めるためにコードやメーリングリストにあたろうとする意思があった。しかし、ほとんどの人々はそのような意思を持ち合わせていないはずだ。そして、同氏にとってすら「理解を進め、各プロジェクトのペースを保つためのリソースの量はあまりにも膨大であった」という。

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