エリクソン、クラウド強化へパブリッククラウド企業の創業者を起用 - (page 3)

末岡洋子

2015-02-02 07:30

AWSと同じ間接攻撃型で市場を攻める

 クラウドでのEricssonのターゲットは、既存顧客であるオペレーター(通信事業者)だけではない。「われわれの関心は、インフラの変革を必要としているすべての企業だ」とHoffman氏は野心をのぞかせる。

 しかし、Ericssonはクラウド分野で知名度が低いだけでなく、ITベンダーとしてのポジションも確立していない。Ericssonとクラウドが結びつかないというイメージの問題については、「マーケティングやブランディングは今後の課題だ」とHoffman氏も認める。

 だが、クラウドはまだまだ市場が大きく、自分たちにも十分チャンスがあるとも楽観する。アプローチは多分に戦略的だ。「攻撃とは直接攻撃するか、間接的に攻撃するかのどちらか」とHoffman氏。

 「われわれはクラウドではブランドがなく、スウェーデン企業、テレコム分野でトップという信頼性があるだけだ。この場合は、間接攻撃で攻める」と続ける。間接攻撃をどのようにして展開するのか計画を練っているというが、根本にあるのは各社を訪問して課題を理解し、問題を解決する提案を行っていくという考え方だ。

 実際、Hoffman氏はJoyent時代、Fortune 500などの大手企業のほぼすべてのインフラ担当と会って話をしてきた実績を持つとのことだ。そしてHoffman氏はパブリッククラウドの雄であるAmazon Web Servicesこそ、間接攻撃型とも述べる。

 「Amazonはコンシューマー/小売りの関係を、アプリケーションを開発する開発者に応用した。開発者はサービスプロバイダやCIO組織に満足しておらず、Amazonはそこに訴求した」とHoffman氏は分析した。

 Ericssonはすでに自動車のVolvoにクラウドサービスの提供を行うなど、クラウド分野の事例を増やしつつある。クラウドと密接な関係をもつマシン間通信(M2M)IoT(Internet of Things)は既存事業の拡大となり、ここを入り口に業界別にアプローチする事業部も立ち上げたところだ。

 もちろん、IBMやHewlett-Packardなど、これまでとは違う競合が待っている。Ericssonは中長期的戦略としてICTカンパニーへの拡大を計画しており、クラウドは鍵を握ることになる。

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