具体的には、従来のリレーショナルデータベースマネジメントシステム(RDBMS)の技術ではあまり効率よく運用管理できない、モバイルデバイス、モノのインターネット(IoT)関連デバイス、さらにSNSなどのアプリが生成する、非構造型データが急激に増加している、という問題です。
多くの企業はモバイル、ソーシャル化の戦略を推進することが問われていますが、すでに北米市場では、このデータ処理に最も適しているのは、HadoopやNoSQL技術といったビッグデータ技術であることは広く理解されており、その特性上オンプレミスではなくクラウド上で運用管理することが一般的になってきています。
これが、昨今多く登場している登場している“サービスとしてのデータベース(Database as a Services:DBaaS)” 戦略の背景であり、日本ではまだこれからの市場ですが急速にニーズが高まり、クラウドプラットフォームサービスとして多くのベンダーが提供を開始するものと思います。ちなみに、AWSは既にDynamoDB、RDS、そして最近ではAuroraなどのサービスでDBaaSを提供していますが、日本国内のクラウドベンダーでこれに対抗できるサービスはまだ存在していないようです。
「クラウド生まれ」の世代が既に生まれている
これだけクラウドがキーワードとして浸透し、そして実際にその価値が証明されていくと一部では、クラウドだけで企業内ITを運用する会社も登場し始めています。当初は、新興企業や、ネット系のゲーム会社、SNSベンダーなどがその代表でしたが、中堅中小企業や一部の大企業も基幹業務を含めたIT資産をクラウド上に完全移行する会社が今や珍しくなくなっていくと考えています。
クラウドがこれだけ浸透した理由の1つは、従来のオンプレミス型のITにはない、利便性と生産性、そしてコストメリットがあるという点です。そのため、一度クラウドに移行したエンジニアが、オンプレミスのIT環境に戻らなくなるケースも多く見ています。
このような動向の中で「クラウドしか知らない」というIT人口の比重が大きくなっていくと予想しています。もちろん、これからIT業界に入る若い世代はもちろんですが、既にIT業界で多くの実績を積んできた人材でも、すべての開発、運用をクラウド上で実施するというキャリアを選択することも大いに考えられます。

クラウドプラットフォームと従来型のオンプレミスプラットフォームとでは、その技術を提供するベンダーの構成が異なります。当然ながら、ソフトウェアの開発手法、使用するツール、要求されるスキルセットが異なります。両方のプラットフォームで共有できるノウハウがあまりないとなると、エンジニアとしてはどちらかを選択することを強いられます。
ソフトウェア開発ツールを提供するベンダーとしても、新しい技術や製品は開発者人口の多いプラットフォームに対して優先的に提供をするだろうから、今後はクラウドプラットホームでのみ提供される製品というのも多くなる可能性があります。
逆に、オンプレミスで開発をすることの意味を根本的に疑問視する人も増えることにつながるでしょうし、そもそも、できない人も多くなることも想定されます。