パナソニックは、創業100周年を迎える2018年度に売上高10兆円を目指している。そのうち、売上高2兆円を占めるのが住宅関連事業だ。
企業向けビジネスへの移行を鮮明にしたパナソニックにとって住宅関連事業の成長は重要な柱になっているのは間違いない。なかでも、成長が期待できるのがリフォーム市場、そして、施設や店舗などの非住宅分野である。
新設住宅の着工件数は、今後も横ばいが見込まれる一方で、リフォーム市場は拡大の様相をみせる。非住宅市場も少子高齢化を背景にして高齢者施設の増加が予測されるなど市場は拡大傾向にある。
2010年6月に政府が策定した新成長戦略では、2020年までにリフォーム市場を20兆円、中古住宅流通を8兆円といずれも2010年比で倍増させる計画が打ち出されており、それに向けた各種制度の策定などが進められている。
パナソニック エコソリューションズ社 ハウジングシステム事業部 内装システムビジネスユニット長 倉本知典氏
パナソニック エコソリューションズ社ハウジングシステム事業部内装システムビジネスユニット長の倉本知典氏は「住宅事業2兆円に向けて、新築中心からリフォーム、非住宅市場へと事業を拡大させる。それにより、建材商品提案から空間ソリューション提案へと発展させ、新たな空間価値を提案する」と宣言する。
成長分野への製品投入を強化し、事業体質を図ることが成長への近道だ。
パナソニックは、リフォーム市場向けにリフォームでの困りごとを解決する体制を強化。現場の要望にあわせて1mm単位でサイズ変更に対応する「特注対応」、受注から5日間で納期する「短工期対応」に取り組むほか、上貼りが可能な1.5mm厚の薄型床材などの提供による「工期短縮」が可能なリフォーム製品のラインアップ強化に加え、省エネや耐震、介護、ペットといったリフォーム固有ニーズを視野に入れた製品強化も図る。
「耐震では躯体や施工など工法を含めた解決策を提案する。また、簡単に開閉できるアシスト機構の採用や衝撃吸収床材などは介護などにも有用になる」と目論んでいる。
非住宅市場向けでは、高齢者施設や医療施設に自閉引戸や引きしろが不要な折戸の投入、不燃面材対応による法規適応などを特徴とするほか、豊富な市販タックシートを貼ることで現場作業の柔軟性を実現できる製品の投入を図る。
さらに「冷蔵庫で活用している真空断熱技術を活用することで、断熱性を持たせた内貼断熱パネルを投入。LED導光技術を用いることで安心、安全な空間を提供するLED融合建材、脱臭と除菌効果を持つナノイーを活用した下駄箱向け脱臭装置など、グループ内の技術を活用した新たな空間価値提供にも取り組む」とした。
市場が縮小する新築住宅向けには、高付加価値商品の創出による中高級品シフトを加速。「床材を中心に高意匠突板やシートに加え、ムク展開などの中高級品に力を注ぎ、床材の販売数量では、現在6割を占めている中高級品の比率を7割以上に高めたい」という。
現在、内装システムビジネスユニットの売上高は800億円。これまでは、住宅市場向けの建具や収納、床材が中心であったビジネス構造を改革。2018年度には売上高1000億円を目指す。そのうち、中高級製品へのシフト、リフォーム向け新製品の強化、非住宅分野への展開、新たな事業展開で約2割を占める考えだ。
改善活動をベースにローテクとハイテクを融合
内装システムビジネスユニットで重要な役割を担う企業が、パナソニック エコソリューションズ内装建材である。
パナソニック エコソリューションズ内装建材 副社長 小屋本政則氏
内装システムビジネスユニットの傘下にある同社は、システムキッチンやユニットバスなどの水まわり設備、床材や建具、収納などの内装建材、雨どいや外装材などの外まわり建材など住宅設備機器と建材を総合的に提供している。
「単なる生産拠点に留まらず、営業、開発部門を持っており、独自に製品を企画、開発できる機能を持つ。開発から製造までの一貫体制が強み」と、パナソニック エコソリューションズ内装建材副社長の小屋本政則氏は語る。
同社の売上高は約474億円、従業員数は687人。香川、群馬、大阪、兵庫、広島、真岡、幸田の7つの工場を持つ。同社の売上高のうち36%と最も大きな比率を占める床材を生産しているのが、群馬県沼田市の群馬工場である。