バンコクの王立小中高、タブレットを用いた教育支援システムを導入

NO BUDGET

2015-02-03 07:00

 タイ王国バンコク市の王立チュラロンコン大学附属模範小中高等学校は、タブレット端末を用いた教育支援システムを導入、中高では2月3日、小学校では4月1日に本格運用を開始する。構築を手掛けた富士通と富士通タイランドが2月2日に発表した。


システムのイメージ(富士通提供)

 チュラロンコン大学附属模範学校は創立1958年、児童生徒数2780人。タイ王国の最高学府である王立チュラロンコン大学とともに、ASEAN地域の先進的な教育、育成をけん引する。富士通は2013年6月に開始した王立チュラロンコン大学との学生ポートフォリオシステム実証実験を通じて、教育現場での効果的なICT活用ノウハウを提供してきた実績がある。

 富士通が2014年9月に開始した「明日の学びプロジェクト」に附属模範学校が参加し、同システムを導入すると同時に、附属模範小学校でも子供たちに小学校から中高等学校まで一貫した教育環境を提供するため、プロジェクトとは別に同システムの導入を決定した。

 導入される教育支援システムは、富士通の法人向けタブレット「FUJITSU Tablet STYLISTIC Q555」「FUJITSU Tablet ARROWS Tab(ARROWS Tab) Q704/H」「ARROWS Tab Q584/H」(Q704/HおよびQ584/Hは国内向け製品のOSの言語設定を変更したもの)、PCサーバ 「FUJITSU Server PRIMERGY TX120 S3」「マーナビケーション」および授業支援システム「CoursePower」を活用している。

 同システムを活用する授業では、「FUJITSU 文教ソリューション K-12 協働学習支援マーナビケーション」(マーナビケ―ション)により、児童生徒がタブレットに入力した意見や問題の答えを教員が即座に電子黒板に表示し、クラス全体で共有できる。複数回答の一斉表示や特定の回答の比較表示も可能で、効果的な協働学習を実現した。

 また、授業支援システム「FUJITSU 文教ソリューション CoursePower」(CoursePower)により、教員は教材、テストの使用履歴、児童生徒1人ひとりの提出物や授業出席状況、テスト結果などの管理を効率化でき、児童生徒1人1人の学習行動分析結果を基に、個人の傾向や学習進捗に応じたきめ細かなケアも容易になる。

 富士通と富士通タイランドは、同システムの構築にあたり、初めてマーナビケーションをタイ語化し、国内では大学向けに提供しているCoursePowerを小学校、中高等学校の授業支援用に工夫して取り入れ、チュラロンコン大学附属模範学校向けの教育支援システムを構築した。

 またシステム構築後も、システム運用管理やシステム操作支援のほか、効果的な授業計画、システム活用のアドバイスなどもするICT支援員をタイ王国内で育成して派遣し、同システムを活用した授業を包括的に支援する。チュラロンコン大学附属模範学校では、同システムを活用し、ASEAN地域の初等中等教育のICT化をけん引していく。

 システムの特徴は以下の通り。

1クラス分の設備導入から開始

 同システムは、1クラス分の児童生徒用タブレット約40台と教員用タブレット約20台、学習履歴や教材などを管理するためのサーバ1台の構成で、小学校と中等学校にそれぞれ整備される。児童生徒と教員がICT活用に慣れ親しんでいくにつれてシステム規模を拡大できるため、学校側の初期導入負担を軽減。

マーナビケーションによる協働学習の活性化

 マーナビケーションは効果的な協働学習を効率的に実現するためのもので、児童生徒がタブレットに入力した意見や問題の答えを教員が即座に電子黒板に表示し、クラス全体で共有できる。

 電子黒板に映し出された児童の意見を選択、拡大し、集計チャート表示しながら文字や図をペンで書きこむこともでき、協働学習の効率的に活性化でっkる。また、授業中に、教員と各児童や生徒の間でのコミュニケーションもできるため、個性に合わせて利用できる。

CoursePowerによる学習履歴管理

 資料や教材、課題、テスト、レポート、および出席記録をCoursePowerに登録することで、教員や児童生徒の作業効率化や学習効果改善に役立てることができる。教員は、教科別や時系列で授業を管理でき、授業の準備や記録・保管の手間を大幅に効率化。

 また、「学びチャート」機能により、各児童生徒の学習行動履歴から事前学習を行っているか、課題をきちんと提出しているか、などの学習行動傾向をチャートで表示できるため、授業の改善やきめ細かな指導に活用できる。

 一方、児童生徒は、タブレット端末からの教材参照や課題などの提出が可能となるほか、自己の学習行動履歴を参照できるため、テストの結果や教員からのコメントなどの振り返りが可能。

今後の機能拡張

 3月までに、国内の明日の学びプロジェクト参加校が利用している学習情報活用ツール「知恵たま」もタイ語化し、同システムに追加する。このツールでは、授業の準備から実施までを繰り返すうちに、授業の日付や教科などの情報が、利用した教材や板書の画像に自動的に付与されて蓄積される。

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