三国大洋のスクラップブック

海外滞留金2兆ドルの行方--米法人税改革に向けた議論が再始動 - (page 3)

三国大洋

2015-02-04 07:00

 タックスホリデーがよろしくないとされる理由は、その実施により一時的な資金の国内流入(企業による海外滞留金の国内持ち込み)にはつながるものの、その資金の流れる先が必ずしも想定した通りにはならないからだ。

 2000年代半ばの時には「新規雇用の創出につながる」などといった主張が企業側から出されていたが、後で調べてみると、企業の自社株買いや一時配当金支払いなどに使われた例も少なくないことが明らかになっていたことや、将来タックスホリデーが再び実施されることを見越して、企業がふたたび国外で利益を貯め込むことなどが懸念される。

 Paul-Boxer案も、企業の海外滞留金からの税金を社会インフラ整備の原資確保に回す、という点はObama案と共通。ただし、法人税制の改革には踏み込んでいないという。

 そうしたこともあり、このPaul-Boxer案が成立する見込みは低いとされている。ただ、こうした議案がいまだに出されるというのは、そうした措置の実施を望む企業側の声が現在でも残っていることの現れとも受け取れる。

 上下院とも過半数を失ったObama政権が、今後どこまで自らの意思を通せるかという大きな不確実性もあり、最終的な落としどころなどは無論まだ見えないが、2016年の大統領選挙を見据えて「約30年ぶりとなる抜本的な税制改革に向け、今年はいよいよ」という感じも伝わってくる。

(敬称略)

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