GoogleとVMwareが企業向けクラウド分野での協業を発表した。この動きは何を意味するのか。
両社のクラウドサービスを連携
GoogleとVMwareが米国時間1月29日、VMwareのクラウドサービス「VMware vCloud Air」上でGoogleのパブリッククラウドサービス「Google Cloud Platform」を企業向けに2015年後半にも提供開始すると発表した。これによって、企業はVMwareのハイブリッドクラウド基盤上でGoogleのクラウドサービスにアクセスできるようになる(関連記事参照)。
今回の発表に向け、両社の事業責任者は次のようにコメントを寄せている。
「両社の協業により、顧客企業はVMwareベースのクラウド環境と、セキュリティ、拡張性、コストパフォーマンスを備えた当社のパブリッククラウドを単一インフラ上で統合し、当社が提供する数十億の分析結果をわずか数ミリ秒(1000分の1)で取得できるようになる」(Googleグローバルパートナーストラテジー&アライアンス担当マネージングディレクターのMurali Sitaram氏)
「両社の協業により、顧客企業は Googleの豊富なサービス群を利用しながら、ミッションクリティカルなアプリケーションをvCloud Air上で稼働させることができる。そして、この協業を通じて、顧客企業はvCloud AirとGoogle Cloud Platformを既存のVMware vSphereベースの社内インフラと完全な相互運用性を備えた単一のハイブリッドクラウドサービスとして利用できることによるメリットを享受できる」(VMwareハイブリッドクラウドサービスビジネス担当上席副社長兼ゼネラルマネージャーのBill Fathers氏)
ハイブリッドクラウド利用の動きが活発に
両氏のコメントからも明らかなように、今回の協業における両社の狙いは、プライベートクラウドとパブリッククラウドを連携させたハイブリッドクラウド利用を促進して事業拡大を図ることにある。
実は、こうした動きはこのところ、他のクラウドベンダーの間でも活発になってきている。とりわけ、パブリッククラウドとして協業の対象になっているサービスは、IaaSで激しい価格競争を繰り広げている「Amazon Web Services(AWS)」と「Microsoft Azure」だ。
例えば、IBMやOracleはプライベートクラウドとともに自らもパブリッククラウドサービスを展開しているが、多様な顧客ニーズに対応するために、Microsoftと協業してAzureとも連携できるようにしている。日本でも同様に、富士通がMicrosoft、NECがAWS、日立製作所がAmazonおよびMicrosoftのサービスと連携できるようにしている。
その意味では、今回VMwareとの協業によって、AmazonおよびMicrosoftと価格競争を繰り広げているGoogleが、ハイブリッドクラウドの利用形態に本格的に乗り出したとも見て取れる。
今後はさらに多くのクラウドベンダーが、AmazonおよびMicrosoftにGoogleを加えた3社のパブリッククラウド基盤を顧客ニーズに応じて連携させながら、ハイブリッドクラウド利用を押し進めていくだろう。今回のGoogleとVMwareの協業は、そうしたクラウド市場の新たな潮流を一層加速するものといえそうだ。