限りなきカスタム化に商機--アクセンチュアの技術トレンド調査

NO BUDGET 2015年02月05日 06時30分

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 米Accentureは2月2日、世界のテクノロジトレンドに関する最新の年次調査レポート「Accenture Technology Vision 2015」を発表した。現在の市場は「We Economy(企業同士が業界を超えて相互に補完し合う経済)」と呼ばれる概念に基づく再形成の過渡期にあり、人々の働き方や暮らしに大きな変化が生まれつつあるという。

 同社が世界2000人以上のIT担当役員および経営幹部を対象に実施した調査の結果、5人中4人の回答者が「将来、プラットフォームが産業を再形成し、各業界を相互に連携させるエコシステムを生み出すことで、業界の垣根は取り払われるだろう」と回答している。

 また、回答者の60%は「同じ業界内で新たなパートナーと協業する計画がある」と回答しているのに対し、40%は「デジタル技術に関して他業界と提携する計画がある」、48%は「デジタル技術のプラットフォームを提供する先進企業との提携を計画している」と回答した。


 先進的な企業は、デジタルビジネスが生み出す新たなエコシステムの形成に向けて、異なる業界のデジタルビジネスやデジタルサービスを使う顧客、さらにはネットワークの末端のデジタル機器に至るまで幅広く目を向けているという。

 また、同レポートでは、未来のデジタル市場を担うキープレイヤーに共通して見られる以下の5つの新たなテクノロジトレンドを紹介している。

「個」客体験をもたらすインターネット(The Internet of Me):限りなくカスタム化された世界

 日常のモノがオンラインへ移行するにつれ、顧客体験もオンラインに移行しており、個人の生活のあらゆるシーンに密着した多くのデジタルチャネルが生まれている。

 企業が「顧客の関心を引くために利用している、もしくは試している」と回答した新たなチャネルの上位には、ウェアラブル端末(62%)、スマートテレビ(68%)、スマートカー(59%)、その他のスマート製品(64%)などが挙がった。未来志向の企業は、新たなアプリケーションや商品、サービスを生み出す手法を変革し、かつ確実に利益につなげていく。

 企業は個々の顧客体験をコントロールするために、顧客のプロファイルや状況に応じてカスタム化された体験を創造する一方、顧客からの信頼も必要となる。新たな利益を生み出すことに成功した企業の多く(60%)は、「カスタム化された顧客体験を生み出すテクノロジへの投資が成果につながった」と回答している。

 この「『個』客体験をもたらすインターネット(The Internet of Me)」を実現できる企業が、次世代の有力企業となる。

成果を売る経済(Outcome Economy):確実な成果を生み出すハードウェア

 インテリジェントなハードウェアが、デジタル世界と現実世界との最後のギャップを埋めようとしていると指摘。有力企業は、顧客が本当に望むもの、つまり単なる商品やサービスではなくより価値のある成果を生み出すために、IIoT(Industrial Internet of Things)の活用に目を向け、ハードウェアとセンサをデジタル機器に組み込み、高度に連携させようとしている。

 回答者の87%はインテリジェントなハードウェアやセンサ、ネットワークの端末を多く活用しており、「企業活動はこれまでのように単に商品やサービスを売ることから(商品やサービスの利用を通じた)成果を売る体制に急速に移行している」と回答した。

 回答者の84%は、「商品から得られるインテリジェンスを活用することで、商品がどのように使用され、消費者がどのような成果を求めているのかについて理解が深まった」と評価。

 こうした「デジタルディスラプター(デジタル化時代の創造的破壊者)」は、競合企業に勝つために、単に物を売るのではなく、それによってもたらされる成果を売らなければならないこと、そのために物の活用やそれにまつわる体験価値までフォローすべきであることを認識しているとした。

プラットフォームの改革と進化(The Platform (R)evolution):エコシステムを定義し、産業を再定義する

 デジタル時代のプラットフォームとエコシステムは、飛躍的なイノベーションと破壊的な成長の波をさらに加速させるという。プラットフォームを軸にビジネスを展開する企業は、デジタル経済において成長と収益を向上させる多くの機会を獲得しているとのこと。

 実際に、回答者の75%が「次世代のプラットフォームは大手のテクノロジ企業ではなく、業界のプレイヤーやリーダーによって構築されるだろう」とした。そして、回答者の4分の3近く(74%)が、デジタルビジネスのパートナーとデータを統合するために、プラットフォームを活用、または実験的に導入している。

 クラウドやモバイルの急速な進化は、プラットフォームに関するコスト面や技術面での障壁を取り払うだけでなく、業界や地域を超えた新たな企業活動の領域を作り出しており、プラットフォームを基本とするエコシステムが新たな競争の舞台となっている。

インテリジェントな企業(Intelligent Enterprise):膨大なデータとスマートな仕組みが優れたビジネスを生み出す

 これまで、先進的なソフトウェアの主な目的は、社員の効率的な業務運営と迅速な意思決定を支援することにあった。しかし本格的なビッグデータの時代が到来し、データの処理能力やデータサイエンス、認知技術が飛躍的に高度化した現在、「ソフトウェアインテリジェンス」によって、企業は高度な処理に基づく情報に従って、優れた意思決定を行えるという。

 回答者の80%は、「アプリケーションやツールが人間に近い知能を持つ『ソフトウェアインテリジェンス』の時代が到来している」と答えた。さらに回答者の78%は、「ソフトウェアは近い将来、環境の変化を学習しながら、過去の経験を踏まえたより高度な情報処理を行うようになるだろう」と考えている。

 「ソフトウェアインテリジェンス」によって、実務上のさまざまな知見やソフトウェアを活用した次世代のサービスが生み出されることで企業全体にわたるイノベーションが推進され、新たな進化と発見がもたらされるという。

「ワークフォース」再考(Workforce Reimagined):人間と機械の連携がもたらすコラボレーション

 デジタル変革の潮流によって、人間と機械のコラボレーションがさらに求められている。調査に回答した企業の多く(57%)では、データ可視化などITの専門家が必要であった作業を、ユーザー側の社員でも行えるようにするテクノロジが導入されている。

 直感的なインターフェースやウェアラブル端末、スマート機器の進化は、テクノロジを通じて企業が労働力を強化する新たな機会を与えるとともに、人間と機械のコラボレーションを管理する上での新たな課題も生み出す。

 回答を寄せた経営幹部の78%は、ビジネスの成功のためには社員とインテリジェント機器のコラボレーションの維持と管理が重要だと認識している。そして回答者の77%は、「3年以内には、『インテリジェントソフトウェア』やアルゴリズム、機械学習を利用する途上で、社員トレーニングと同等の労力を機械のトレーニングにも費やす必要があるだろう」と考えている。

 人間の能力とインテリジェントな技術が組み合わされることのメリットを認識し、双方を生かした新たなワークフォースを再考、構築することが企業を成功に導く鍵になると指摘している。

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