石黒氏 もうひとつ、ホワイトカラーの生産性という、何年も前からずっと口にはしながらも踏み込んでなかった領域で、政府もやっと話をし始めました。日本の会社の生産性は、先進国の中でも最悪です。20年くらい先進国の中でビリという調査結果もあります。それを脱却する手段として提供して、企業のパフォーマンスが外側も内側もよくなったら、日本企業もかなり強くなれると考えています。
デジタルマーケティングは日本人に向いている
--デジタルマーケティング領域の展望は。
石黒氏 2020年には東京五輪があり、そこへ対する投資は2018年くらいまで進むと思います。その中で感じているのは、デジタルマーケティングの分野で、やっとみなさん目を開かれてきた、やっと何をすべきか分かってきたということです。また、企業投資が大きくなると同時に、デジタルの分野での投資も進むと思います。二重に進むことになるので、ある程度は欧米並みのデータやシステムの基盤ができてくると考えています。
デジタルマーケティングは(考慮すべきことが多く)面倒くさいですが、面倒くさいことをきちんとできるのは日本人しかいないと思っています。ある意味では企業のデジタルマーケティング分野は遅れてきましたが、追い越せるチャンスが出てくると思います。「カイゼン」のメソッドなどは欧米は絶対できない。サービスを含め品質保証 (Quality Assurance) ができる国民性が日本にあるということは、デジタルマーケティングをやる国民性ではある。いったん理解したら、やりきると思います。
--ネットイヤーグループはその時何をするか。
石黒氏 もともとデジタルマーケティングという言葉を使えるようになったのも最近ですし、その前はウェブで言えばウェブ構築屋さんしかありませんでした。でも今はサービス範囲が広がってきて、デジタルマーケティングができるようになりましたし、それはネットに閉じずにリアルなところもデジタルを使ってお手伝いできるようになりました。また、会社内に踏み込むことができました。
そういう環境でわれわれはデジタルを使った企業変革をしていく会社なので、ものすごくポテンシャルが大きいと考えています。まだできたばかりなので、より多くの業界などに大きく広げていけると思います。
そもそものところに戻ると、日本企業は営業力の会社、ひたすら営業みたいなところから、やっとマーケティングが何かということをご理解をいただけたと思っています。マーケティングは別に販促とか宣伝とかだけではありません。企画もそうですし、宣伝もカスタマーサービスもそうです。以前は、カスタマーサービスがマーケティングだなんて思っている企業はありませんでした。だからコールセンターでした。それがコンタクトセンターになって、やがてエンゲージメントセンターみたいな顧客との信頼関係を醸成する形になっていくでしょう。
そういう啓発をずっとしてきて、考え方の基盤がだんだん定着してきました。それと、実際にはわたしたちがやっている中で、デジタルのプラットフォーム、データをあらゆるところから貯めて、そこからアクションを起こしていく。今風に言うとDMP(Data Management Platform)ですね。そういう基盤を各企業が作られるようにまだまだ進行形ですが、できてきています。クラウドも使うようになって、データを貯めやすくなりました。そういう考え方を、企業が実際に実施してくれるようになった。すべてはこれからですね。