そのひとつは「贈り物に使いたい品物」のランキングで腕時計(Watch)とデジタルガジェット(Consumer Electronics)が上位に入ってきていること。男性向けでは腕時計が1位でガジェットが2位、また女性向けの場合はさすがに宝飾品やファッション(アパレル製品のことか)には勝てないが、それでもガジェットが3位、そして腕時計が4位にそれぞれ付けている。
図2
2014年秋にApple Watchが発表された後、18金(18k)のゴールドを使った最上位機種(“Apple Watch Edition”)の仕様や値段を推測する議論が一部で盛り上がっていた。John Gruber(Daring Fireballというブログを運営する有名なAppleマニア)あたりからは「最低でも5000ドルくらいにはなるんじゃないか?」という見方も出ていた。
「数年で時代遅れになるのが宿命のようなデジタルガジェットにそんな大金を出す人がはたしているのか?」といった点について、Gruberはその価格付けを正当化するような材料をいろいろと挙げていた(中核部分のチップ=SoCを丸ごと交換できるような仕様にする、など)。
それとは別に、2014年12月半ばにはThe Vergeが、Virtuブランドの携帯電話(コンシェルジュサービス付きで1万ドル以上もする)を購入するような人々の意識について取材した記事を公開していた。この記事には「ロンドンから香港からまで夫婦でファーストクラスを利用するような人々なら、当然腕時計にはそれくらいお金を出す」といったことも書かれていた。
そうした点を踏まえながら、The Vergeは今回のレポートに触れた記事で、中国の富裕層がAppleにとってWatchの、特に最上位機種を売り込む上での絶好の顧客になるのではないか、などと記している(ただし、Hurunレポート中には「贈り物として特に人気があるのは2万元=約3200ドル以下のもの」という記述もみられる)
もうひとつ目を惹いたのは、「ジョギングがゴルフや水泳に続いて3番目に好まれるスポーツになっている」という点(Hurunのレポートの8番目)。またそのひとつ前には「普段から健康に関するアドバイザーを利用している人が24%、個人トレーナーを雇っている人が19%」といった数字も並んでいる。
調査対象の年齢は明らかではないが、赤ワインや輸入蒸留酒(ウィスキーなどか)、たばこ(恐らくシガーも含まれるのだろう)の相対的な人気の低下も考えあわせると、調査対象の間で健康志向がより高まっているとの感じも伝わってくる。そうした流れもApple Watchに有利に働くかもしれない。
ひとつよく判らないのは、中国政府による綱紀粛正の影響――習近平政権発足以来、汚職に対する取り締まりが強化されているといったニュースも目にしており、このレポートの中にも「政府による贅沢品贈答の取り締まりで、ブランド品のギフトの売り上げが前年比5%減少に(過去2年間では30%のマイナス)」といった記述もあるが、それが酒類やたばこ類といったアイテムの人気後退にどの程度影響しているのか、というのは判然としない。
(敬称略)
- 【参照情報】
- Hurun Report releases Chinese Luxury Consumer Survey 2015
- Apple takes top gifting spot in China: report
- Millionaires in China love gifting Apple products
- Apple tops Louis Vuitton, Gucci as the gift of choice among China's wealthy
- IPhone Sales in China Bolster Apple Earnings
- Apple Watch: Initial Thoughts and Observations
- Why the Apple Watch can afford to cost thousands of dollars
- This is what a $22,000 Android phone feels like