ヴイエムウェアは2月3日、仮想化関連製品のメジャーアップデートと、“SDDC(Software Defined Datacenter)”に向けた新製品を発表した。米VMwareとの同日発表で、1~3月に相次いで市場に投入する。ライセンス、価格の変更はない。
メジャーアップデートは、サーバ仮想化ソフトの最新版「VMware vSphere 6」、仮想ストレージ製品の「VMware Virtual SAN(VSAN) 6」の2製品。新製品は、vSphere環境で動作する独自OpenStackディストリビューション「VMware Integrated OpenStack」。さらに、仮想ネットワーク製品「VMware NSX」とパブリッククラウドサービス「VMware vCloud Air」を使ったハイブリッドクラウドの新サービス「VMware vCloud Airハイブリッド ネットワーキング サービス」を発表した。
ヴイエムウェア マーケティング本部長 篠原克志氏
ヴイエムウェア ストラテジックアライアンス本部長 名倉丈雄氏
これらサーバ、ストレージ、ネットワーク、クラウドにわたる大規模な新製品群の意義について、マーケティング本部長の篠原克志氏は「業界初のハイブリットクラウドのための統合プラットフォームだ。VMwareが推進するSDDCが大きく前進した」と説明した。
ストラテジックアライアンス本部長の名倉丈雄氏は、「VMwareは現在、“One Cloud, Any Appication, Any Device”をテーマに、単一のプラットフォームで、あらゆるアプリをあらゆる場所で利用できる環境を提供しようとしている。これまではハイブリッドクラウド環境が作れそうで作れなかった。やっと本当の、本格的なハイブリッドクラウド環境が実現できるようになった」と、技術や製品の制約がなくなり、どんな環境でもアプリケーションを動かすためのインフラとサービスが提供できるようになったことを強調した。
vSphere 6は、現行の5.5からのアップデートで、過去最大規模となる650を超える新機能と新技術を追加した。名倉氏はこのうち、スケーラビリティ、高可用性、管理にかかわる新機能を紹介した。
スケーラビリティについては、クラスタあたりのホスト台数が32台から64台に、ホスト1台あたりの仮想マシン台数が512台から2048台に、仮想マシンあたりの仮想CPU数が64個から128個になど、ホストと仮想マシンの構成の上限が最大で4倍にまで拡大した。
高可用性については、「Long-Distance vMotion」と「Falut Tolerance(FT)」機能のマルチプロセッサ対応を挙げた。Long-Distance vMotionは、“大陸横断規模の長距離”(最大で往復遅延時間=RTTが100ミリ秒)でvMotionを実現する機能。リアルタイム性の高い災害対策(DR)サイトの構築を各国データセンターをまたがって実現できるようになった。「ユーザー企業からの注目度が最も高い機能」(名倉氏)という。
FTのマルチプロセッサ対応では、最大5個の仮想CPUをサポートすることで可用性を高めた。インフラで障害が発生してもダウンタイムやデータ損失はなく、OSに関係なく、ミッションクリティカルな高性能アプリケーションを保護する。フェイルオーバー処理の完全な自動化も可能という。
管理については、あたかもコンテナ技術を使ったサーバ管理のように、仮想マシンを迅速にコピー、プロビジョニングできる「Instant Clone」機能が加わったことやデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Horizon」向けの3Dグラフィック機能の強化、Linuxコンテナのサポートなどを説明した。
ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクト マーケティングマネージャ 桂島航氏
マーケティング本部 シニアプロダクト マーケティングマネージャの桂島航氏は、ヴイエムウェアが進める“ソフトウェア定義ストレージ(Software Defined Storage:SDS)”のアプローチは「ストレージに依存しない新しいアプローチ」だという。管理のためのコントロールプレーンと、格納のためのデータプレーンに分け、ハードウェア非依存でポリシーベースで自動的に管理できる環境を作ることが目的だ。
VSANは、このデータプレーンにおいて、フラッシュとコモディティのハードウェアを使った分散アーキテクチャを持ったストレージとなる。具体的には、vSphere(ESXi)をインストールしたサーバの内蔵ディスクをプール化し、共有ストレージとして利用できるようにする機能だ。
ハイパーバイザ(ESXi)に統合されており、設定項目をチェックするだけで利用できる。5.5から備わった機能だが、6からは、オールフラッシュに対応し、SSD仮想化が可能になった。またスケーラビリティがクラスタあたり32ノードから最大64ノードに拡大した。パフォーマンスはオールフラッシュの場合で4倍に、HDDとSSDのハイブリッド環境でも2倍に高速化した。