中国ビジネス四方山話

中国人のスマートフォンは年に1度スペックアップする

山谷剛史 2015年02月10日 06時00分

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 IDCによると、2014年の中国国内のスマートフォンの出荷台数は4億2000万台だという。2013年の出荷台数は3億6000万台なので、前年比6000万台ほどプラスになっている。またIDCによると、日本のスマートフォン出荷台数は2569万台を予測している。

 一方で先週発表されたCNNIC(中国インターネット情報センター)の情報によると、モバイルインターネットユーザーは5億5678万人で、前年比5672万人の増加となっている。ニールセンによれば、日本の2014年10月時点でのスマートフォンによるインターネット利用者数は、前年比900万人増の4400万人となっている。12倍以上の差はある。

 日本と中国では、スマートフォンによるインターネットユーザーの数に12倍の差がある一方で、スマートフォン出荷台数は16倍の差がある。つまり中国のほうが、頻繁にスマートフォンを交換するのではないか、と想像できよう。日本では不慮の事故で、割れてしまったディスプレイのスマートフォンを片手に「あと数カ月使えば新品に交換できる!」と我慢する人をしばしば見かけるが、中国で町歩きをしたり地下鉄に乗ったりしても、ディスプレイにヒビの入ったスマートフォンを携えている人は滅多にみかけない。

 修理屋はどこの街にもあるので1時間もかけずに部品を交換して修理してもらうという手段もあるが、壊れてしまったり、バッテリの持ちが悪くなってしまったら、部品を購入するよりも、新しく購入してしまった方がいい、という意見を筆者自身よく聞く。中国では、「壊れたら本体を買う」「本体を使える限り使い続ける」という意見もあるが、それ以上に「店に行って気に入ったらスマートフォンを買ってしまう」という意見が目立つ。変わったところでは「盗まれたら買う」という声も。

 2014年7月、奇虎360は、携帯電話・スマートフォンの交換頻度についてまとめたレポート「旧手机回収価値調研報告」を発表している。それによると、2014年の買い換えユーザー数は、出荷台数の約半数となる2億2000万人だとしている。買い換え頻度では、「半年(8%)」「1年(12%)」「1年半(50%)」「2年(30%)」となっている。

 奇虎360の調査結果では、スマートフォン交換の理由は「流行でないから(38%)」「機能が最新ではないから(31%)」という理由が「なくしたから(24%)」「壊れたから(7%)」という理由を上回った。

 フィーチャーフォンが全盛の2009年、別の調査会社である正望咨詢が同様の調査を行い、「中国数碼品牌与消費者行為特征研究報告」というレポートを発表している。それによると、携帯電話の平均交換頻度は1年3カ月。フィーチャーフォンでもスマートフォンでも、1年数カ月で買い換える習慣のようだ。

 買ったらお古のスマートフォンはどうするのかというと、まず「親など家族親族に譲る」という意見をよくきく。次いで、「中古屋で売る」という意見や、「記念にとっておく」という意見が多い。奇虎360のレポートによれば、「iPhone 5sやGALAXY Note 3は比較的高値買い取りが行われている」という。

 奇虎360の調査結果に戻ると、スマートフォンの購入予算は、「1000元(約19000円)以内(18%)」「1500元(約28500円)程度(約13%)」「2000元(約38000円)程度(24%)」「2500元(約47500円)程度(19%)」「3000元(約57000円)程度(約14%)」「3500元(約66500円)以上(24%)」であり、2000元程度が1つのヤマとなっている。スマートフォンが安くなったからとはいえ、モバイルトレンドに取り残されないように、年に1度は月収、ないし月収の半分程度の投資をスマートフォンに行うのだから恐れ入る。

 近年この2000元以下の価格帯で、小米(シャオミ)や華為(ファーウェイ)や聯想(レノボ)、酷派(クールパッド)などが競って、コストパフォーマンスのよい機種をリリースし、注目を集めている。去年中国では、中国メーカーのスマートフォンユーザーが突然増えたように見てて感じたが、その背景にはユーザーの買い換えサイクルの早さが影響しているのだ。去年の中国市場では、四半期ベースで小米が1位になったと思えば、次の四半期では華為にその座を譲っている。

 買い換えサイクルが早いからこそ、あっという間にメーカーのトレンドも代わり、ファブレット化やCPUの高速化が進み、リッチなコンテンツが受け入れられる土壌ができている。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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