京セラドキュメントソリューションズは、業務の可視化や意思決定の迅速化によりグローバルでの競争環境の変化に対応すべくグローバル統合データベースを構築、分析業務に掛かる時間を大幅に短縮した。統合データベースの基盤製品を提供したSAPジャパンが2月9日に発表した。
同社は、京セラのプリンタ事業部門が複写機メーカーの三田工業を子会社化して2000年に設立した。この統合から始まった業務改革プロジェクトでは、第一フェーズとして2004年に「SAP ERP」を日本、アジア、欧州の生産/販売拠点導入し業務プロセスを統合、第二フェーズとして2007年に「SAP Business Warehouse」を導入し、各拠点の実績情報を可視化してきた。
今回は第三フェーズとして、拠点ごとに異なっていたデータ形式を統一し、グローバルでスピーディな経営を行うための分析基盤と、顧客接点の強化と意思決定の迅速化を目指したグローバル統合データベースを構築した。同社は世界140カ国以上で販売を展開し、海外での売り上げ比率は90%を超える。
グローバルでの競争環境の変化に対応するために、業務の可視化や意思決定の迅速化の必要に迫られており、それを可能とするIT活用のシンプル化を実現するプラットフォームを求めていたという。
今回構築されたグローバル統合データベースには、HANAと「SAP IQ」が用いられ、2013年5月より稼働を開始した。現状分析を行うビジネスインテリジェンス(BI)だけでなく、将来予測まで踏み込んだビジネスアナリティクス(BA)を実現できるプラットフォームになると判断して、導入を決定したとのこと。
新たな統合データベースでは、コストの最適化を図り、利用頻度の高いデータをHANAに、過去にさかのぼった大量データをIQに蓄積する階層構造となっている。各国のERPの実績情報、CRMシステムの案件情報、プリンタや複合機から送られてくる機械情報などの構造化データと、コールセンターに寄せられる顧客の声、フィールドサービス担当者の保守レポートなどの非構造化データが一元管理される。
さらに、「SAP BusinessObjects(BO)」やデータマイニングツールを用いた現状分析、予測分析、顧客セグメント分析などが行われ、ビジネスの意思決定に活用されている。
今回の導入により、分析データソースの準備にかかる時間は従来の8週間から2週間へと大幅短縮、分析用データの前処理に要する期間は4カ月から2カ月に、ローデータから分析テーブルを作成するまでの時間は24時間から7時間に、それぞれ短縮した。これにより、シミュレーションを繰り返し、現場がより納得しやすい結果を提供できるようになった。
さらに、BOによるレポートも、従来は1日かかっていた海外拠点の実績が、ほぼリアルタイムかつグローバル標準形式で見られるようになり、オペレーションコストの低減も期待されているとのこと。