バルマー氏の功績を再評価する--マイクロソフトを再びクールにした陰の立役者

Mary Branscombe (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-02-13 06:30

 Microsoftはここ数カ月にわたって快調だ。「Windows 10」の評判は良く、つい最近では「HoloLens」に関するクールな記事をそこかしこで見かける(さらに「Raspberry Pi 2」向けのWindows 10が無償で提供されるというニュースも流れている)。

 Microsoftの周辺には常に、アップグレードに伴って発生するサポート終了やシステムの置換についてのよくある不平不満、「Windows Phone」が市場シェアを獲得できるかどうかというお約束の懐疑論、どのような発表においても詳細をすべて明かさないというやり方に対する話題が渦巻いている。しかしそれと同時に、Microsoftは人気製品の発表を続けてきており、収益面でも良いニュースが続いている。そして、オープンな方向に舵を切っている同社は、開発者やオープンソースコミュニティーからの注目を集めつつある。


Microsoftの元CEO、Steve Ballmer氏

 プロジェクトのオープンソース化により、社内の雰囲気が変化するとともに、製品関連のコミュニティーを作り出すことの重要性や、製品を所有するという考え方から製品を育てていくという考え方への切り替えの重要性について開発者らが相互に学習しつつある。

 こういったことはMicrosoftにとって新たな経験であり、2014年の夏に同社のプロジェクトを「社内でオープンソース化する」と発表した最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏の功績である。同様に「Internet Explorer」開発チームはMozillaからの人材や、「オープンなウェブ」を最終目的に掲げ、かつてはMicrosoftのブラウザが問題の一部であると捉えていたコミュニティーからの人材を雇用している。

 Nadella氏の指揮の下で花開いたこれら変革の多く、そして新製品の発表によって同氏が得ている称賛の多くは、同社の長い歴史を紐解いたところにその源流がある。

 「Office for iPad」は、Nadella氏がMicrosoftのCEOになってからの数週間で開発されたわけではない。「iOS 6」から「iOS 7」への変更点の多さを知ったMicrosoftが、iOS 7に対応するためにリリースを遅らせたのは間違いない。しかし結果的に、Nadella氏が良いスタートを切れるようにリリースを遅らせることになったのだ。

 また、HoloLensのようなハードウェアプロジェクトは、1年以内で(すなわち同氏がCEOに就任してから)できるようなものではない。

 同様に、Microsoftのオープンソースに向けた現在の意気込みの源流にまで遡るとはるか昔にたどり着く。このような動きは、水面下で見えなくなる時もあったが、XMLの共同創作者であるJean Paoli氏が2012年4月にMicrosoft Open Technologies(オープンソースやオープン標準を扱う子会社)に移籍したことが作用しているのは明らかだ。その当時、MicrosoftのCEOはSteve Ballmer氏であった。

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