世界最大の総合オンライン旅行会社として知られるExpediaは、現在31カ国でサービスを展開している。同社のアジア地域最高事業責任者のVikram Malhi氏は、2012年から日本を始めとするアジア11カ国での事業を統括する人物。さらなる事業拡大を目指す上での戦略、そして注目しているテクノロジーについて聞いた。
グローバルでサービス提供する旅行会社に欠かせない考え方
Expediaは、1996年にMicrosoftの旅行予約部門として発足した。その後1999年にMicrosoftから独立、2005年からは独立資本の経営を続けている。日本語サイトは2006年に開設し、2006年には海外ホテル、2013年には国内ホテルの最低価格保証を開始している。また、JTBとの包括的業務提携を2013年に発表、両社のウェブサイトでそれぞれが提携するホテル、旅館の予約が可能となっている。
同社の2013年度の旅行取扱額は、約5兆2000億円。日本の代表的な旅行会社であるJTBの売上高(2013年度)が約1兆3000億円であることを考えても、その規模の大きさが分かる。Expediaの強みは、何と言ってもグローバルで稼ぎ出すこの規模の大きさだろう。これによって競合会社を圧倒する低価格で航空運賃、宿泊費を設定し、ツアーをブッキングできる。
また、同社は2014年から旅行予約のマルチデバイス対応を実現した。国内、海外双方でフライトもホテルの予約も、あらゆるモバイルデバイスで実行できるようになった。
アジア地域最高事業責任者のMalhi氏は、コンピュータサイエンスで博士号を取得しており、IBMなどでビジネスコンサルタントを経験している。こうした経験から学んだことを聞くと次のような返事が返ってきた。

Expedia アジア地域 最高事業責任者 Vikram Malhi氏
「コンサルタント時代、テクノロジの先進性に着目するだけでなく、顧客のビジネスにいかに貢献するかを考えなくてはいけないということを学びました。これは、当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、実行するのは難しいことなのです。顧客もコンサルタントもつい先進性に目がくらんでしまい、本当は何がしたかったのかを忘れてしまう」
この考え方は、現在のオンラインサービスでも生かされているという。先進技術はユーザーに寄り添うものでなくてはならないということなのだろう。さまざまな言語を使う、あらゆる世代のユーザーにサービスを提供する旅行サービス会社にとって、欠かせない考え方だ。
「われわれは、サービスを利用するお客様の利便性を最優先しなくてはならない。顧客の満足はテクノロジだけで達成するものではないのです。当社では、電話によるヘルプデスクを多数の言語で対応させています。もちろん、日本語でのサービスも続けています」