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ファナック株急騰が意味すること--自社株買い実施企業に注目 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2015-02-13 10:57

ファナックは2つの顔を持つ

 ファナックは、産業ロボットで世界トップの、日本が誇る高収益ロボット企業だ。技術力を磨くことに固執し、常に世界トップの技術力を維持してきた経営力は敬服に値する。

 ところが、そのファナックにはもう1つの顔がある。「IR(株主との対話)が良くない企業」と言われることがあるのだ。機関投資家向けアンケートで、IRの良い会社と悪い会社のランキングをとると、悪い方の上位に出てくることがあるからだ。

 ファナックは創業以来、「製造業は技術を磨くことに邁進し、金融テクニックに走ってはならない」を社是としてきたと言われている。1980年代後半、バブル景気のとき、日本企業は一斉に特定金銭信託(特金)を使って財テクに乗り出した。そのころ、ファナックは社是を守り、財テクに手を出さなかった。

 当時「財テクをやらない企業はバカだ」とファナックを名指しで批判する識者もいた。それでも、ファナックは頑なに社是を守り通した。後から、株は大暴落し、財テクに手を出した企業は損失を出した。そういうことがあってから、ファナックは一層「金融テクニックに走らない」ことを厳格に守るようになった。

 ただし、1990年代以降、それが段々エスカレートしていった。企業努力の甲斐あって、ファナックのバランスシートには保有キャッシュが増えていった。ところが、「金融テクニックに走らない」ことがエスカレートし、莫大なキャッシュの有効活用を考えることや、株主と対話して株主がファナック株を買いたくなるようなIRをすることも、避けるようになった。

 「積み上がっていくキャッシュをどうするか」問われると、ファナックは「技術的に魅力的な企業の大型買収を行う機会が訪れたら使う」と答えていた。「それで、有望な企業は見つかりましたか」と問うと、「いまだに見つかりません」と答えている。その問答が長く続いた。

 2000年代に入って、日本企業のIRが軒並み大きく改善すると、ファナックのIR嫌いはさらに目立ってきた。さらに、積みあがったキャッシュも目立った。それでも、日本の機関投資家がファナックに自社株買いを要求することは、ほとんどなかった。ファナックは技術に生きることを徹底し、それに成功していることに一目置かれていたからだ。

 今回、サード・ポイントがファナックに自社株買いの要求を出したが、これは株主としてごく普通の意見といえる。株主は、会社の業績が悪化する時、株価が下落するリスクを常に抱えている。会社が破綻すれば、価値がゼロになるリスクもある。リスクに見合った株主配分が得られなければ、喜んで株主になる投資家は誰もいなくなってしまう。

 借金が多い会社が配当を増やさずに借金返済を優先するのは、十分に納得できることだが、ファナックくらいキャッシュが積みあがって、なお株主還元に積極姿勢を見せないのは、やや極端といえる。

 ただ、ごく直近で、ファナックのIRに変わる兆しが出ているとの声はある。時代の流れを反映し、ファナックもIR充実の必要性や、株主還元の増額を検討する必要があることを理解してきたとも取れる。サード・ポイントの要求にどう応えるか、注目される。

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