エネルギーや情報通信事業を展開するフジクラは、グローバルタレントマネジメントシステムを構築し、第一フェーズの目標管理システムは2014年8月の検討開始から2カ月で利用を開始し、作業工程削減による業務の効率化を実現した。
続けて、第二フェーズの従業員可視化システムも、11月から検討して2カ月で利用を開始し、適材適所の人員配置や組織変革を支援する基盤として活用しているという。構築を支援した日本IBMが2月16日、発表した。
フジクラは2015年中期経営計画の成長戦略の1つにグローバル展開の加速を掲げ、海外売上高比率60%以上を目指している。同社では、ビジネスのグローバル化に伴い、グループ会社を含めた従業員数が増加する中で、個々の従業員のさまざまなスキルや経験、評価情報を可視化し、経営資源として活用する必要があったという。
また、従業員のキャリア志向や異動希望などを拾い上げ、企業と従業員の両方にとって利益のある関係をつくるための一助として、意識調査のための情報収集基盤を確立することが求められていた。
このような背景から、従業員情報管理、目標管理、評価管理、キャリア開発などをグローバルで統一されたプラットフォームで実現することを目指し、今回のグローバルタレントマネジメントシステム構築に着手した。
同システムには、SAPジャパンのクラウド型人事ソフトウェア「SuccessFactors」を採用。SuccessFactorsは、採用、配置、能力開発、評価、処遇といったタレントマネジメントに強みを持ち、人事管理機能を包括的に提供できるという。人事戦略に応じた段階的な導入や運用が可能であることだ。
顧客の要望に応じて導入する機能を選択できるだけではなく、企業の統廃合などによる業務量の増大に柔軟に対応することができる点が特徴。パッケージとして多言語対応や各国の業務プロセスに対応したきめ細やかなローカライゼーションが進んでいる点も、同プロジェクトに採用された理由の一つとしている。
今回の構築プロジェクトでは、目標管理システム、従業員見える化システムに続いて、能力評価システム、キャリア開発システムへと導入機能の拡張を図っていく。このうち能力評価システムは10月の稼働開始を目指している。また、現在の対象は国内2000人の従業員だが、今後、海外を含めた3000人へと拡大していく。
また、システム構築の観点では、アジャイル型の開発手法が取り入れられた。要件定義の段階からプロトタイプを見ながら機能や利用方法を確認できるため、要件定義時点と開発後のユーザーの認識ギャップを極小化できるとともに、利用開始までの期間を大幅に短縮できたとのこと。
また、クラウドを利用するため、自社でシステム環境を構築する場合と比べて、導入コスト、運用コストの低減を図ることができたとしている。