2月17日から開かれている日銀の金融政策決定会合の結果が、今日発表される予定だ。「政策変更なし」と発表される公算大で、株式市場への影響は限定的だろう。
市場の注目は、その後の黒田総裁の記者会見で、先行き追加緩和の可能性を匂わす発言があるかに向かっている。楽天証券経済研究所のチーフストラテジスト窪田真之氏は、市場の追加緩和期待を高めるような発言があれば、円安、株高が進む可能性があるが、今回はそうした発言は出ないと予想されるという。
市場と対話するFRBとECB、日銀は?
FRB(米国の中央銀行)やECB(欧州中央銀行)は、金融政策の方針について、市場と対話することを重視している。金融政策の変更で市場にショックを与えないように、政策変更の可能性を少しずつ市場に織り込ませる努力をしている。
2014年10月、米FRBはQEIII(量的緩和第三弾)を終了した。これは、2年以上前から、何度も市場との対話を通じて市場に伝えてきたことなので、市場に驚きを与えることはなかった。ECBは今年の1月に量的緩和を導入した。これも、事前に市場と対話しながら方針を伝えていたので、市場に驚きを与えることはなかった。
日銀も、欧米の中央銀行を見習って、市場と対話していく方針を打ち出している。ただし、実態は、必ずしもそうなっていない。日銀は、かつて金融政策の方向性について、完全な秘密主義を貫いていた。近年は、昔に比べると政策に関する情報を出すようになってはいるが、それでもFRBやECBに比べると、秘密主義の側面が強いと言わざるをえない。
市場を驚かせることで日銀パワーを見せつけた昨年のサプライズ緩和
2014年10月末に実施した日銀の追加緩和は、「ウルトラサプライズ」と市場に受けとめられた。黒田総裁は、2014年6月ごろから、市場で追加緩和期待が高まるたびに、「景気は順調に拡大しており追加緩和は必要ない」と繰り返してきた。追加緩和不要を繰り返し唱える黒田総裁を見て、市場に「黒田日銀はこれ以上の緩和をやる気がない」という認識が次第に浸透していった。
そして誰も追加緩和を予測していなかった2014年10月末、日銀は突然、大規模追加緩和を発表した。予想外の緩和発表で市場は大混乱に陥った。為替市場で円安が急進し、日経平均が急騰した。黒田総裁は、日銀パワーを市場に見せつけることで「追加緩和は大成功」という印象を与えることに成功した。