本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、マカフィーのJean-Claude Broido 代表取締役社長と、ヴイエムウェアの篠原克志 マーケティング本部長の発言を紹介する。
「IoTに向けたセキュリティソリューションは、われわれの最重点事業である」 (マカフィー Jean-Claude Broido 代表取締役社長)
マカフィーのJean-Claude Broido 代表取締役社長
マカフィーが先ごろ、今後の事業戦略について記者説明会を開いた。Jean-Claude Broido(ジャン・クロード・ブロイド)氏の冒頭の発言は、その会見で、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things)」に向けたセキュリティソリューション事業への意気込みを語ったものである。
Broido氏はまず、ITセキュリティ市場の最近の傾向として次の3点を挙げた。1つ目は、「ITセキュリティは従来のリスク保護からリスク管理を重視する形に変化しつつある」という点だ。そのリスク管理を遂行するために、ログ情報の収集、分析やプロアクティブなセキュリティ対策が強く求められるようになってきたと言う。
2つ目は、「高度化しつつあるセキュリティ脅威に対処するためには、各種ソリューションを相互連携させる必要がある」という点だ。例えば、マルウェア検知とデータ保護対策などをこれまでにも増して連携させることが求められているとした。
3つ目は、「最近のITトレンドであるモビリティ、クラウド、ソーシャルメディア、IoTなどに対応したセキュリティソリューションの需要拡大」である。同氏は、これら3つの傾向に対して、マカフィーが最適なソリューションを提供していることを強調した。
中でも同氏が今後の事業戦略において繰り返して話題に上げたのが、IoTに向けたセキュリティへの取り組みだ。その背景には、マカフィーの親会社である米McAfeeが2011年に米Intelに買収され、2014年から「Intel Securityグループ」として、Intelの半導体技術とMcAfeeのセキュリティ技術を密接に連携させた戦略を本格展開していることがある。つまりは、両社の統合そのものが、IoTに向けたセキュリティへの取り組みを最大の眼目としていると見て取れる。
同氏によると、「McAfeeはIntelと統合する以前から、さまざまな機器にセキュリティ技術を組み込む事業を展開してきた。Intelと統合したことで、そうした組み込みのノウハウがIoTに向けたセキュリティへの取り組みへと大きく広がりつつある」と言う。このコメントに続いたのが冒頭の発言である。