もちろん、ユーザーがインターネットに接続していないときは、デバイス内に保存されているファイルにしかアクセスできない。しかし、「Spotify Premium」のユーザーが、インターネット接続が利用できないときにオフラインで再生できる音楽を選択するのと同じように、Limaでもオフラインで使用するファイルを選択できる。さらに、Limaはよく使われるファイルを自動的にオフラインでも使えるようにすることで、この作業を簡単にしている。
Limaの仕組み
Limaはハードウェアアダプタと、デスクトップやモバイルデバイス上で動作するソフトウェアをペアリングすることで、最初にどこで作成され、保存されたかにかかわらず、どのデバイスでも同じデータにアクセスできるようにする。Limaをインストールするためには、Limaのデバイスをルータと外付けハードディスク(最大8テラバイトまでサポートされている)の両方に接続する必要がある。Limaのアプリをすべてのデバイスにインストールしたら、システムの利用準備は完了だ。現在は、「Android」と「iOS」のスマートフォンと、「Windows」「Linux」「Mac OS X」のマシンがサポートされている。「Windows Phone」と「Chrome OS」のユーザーは、Limaのウェブアプリを利用できる。
インストールが終わると、Limaは各デバイスのすべてのファイルを収集し、ローカルのハードディスク上にある共有ストレージシステムに移動させる。それ以降は、各デバイスは自分のストレージではなくこの共有ストレージ領域を使用し、ストレージを共有する「チーム」として、分散型でプライベートなシステムを構成する。
では、Marcombes氏はLimaの着想をどこから得たのだろうか。同氏によれば、自分が持つすべてのデバイスで、すべての音楽ファイルを利用する方法を探していたときに、このアイデアが生まれた。「わたしは、問題なのは音楽ファイルだけではないことに気づいた。なぜ所有しているすべてのデバイスで、まったく同じコンテンツが使えないのか理解できなかった。それが自然だと思ったが、そのためのソリューションは市場になかった」と同氏は言う。
同氏とArab氏は「地下室にこもって」Limaのプロトタイプ作成に2年間取り組んだ。その後、最初の1000台のデバイスを製造するために、6万9000ドルの調達を目標として、Kickstarterでプロジェクトをスタートさせた。その目標には、13000人の支援者を集めて12時間で到達し、最終的には120万ドルの資金を獲得した。2015年の1月12日には、最初の100台のデバイスをβテスターに送付している。この製品は、現在99ドルで予約を受け付けており、2015年の春に出荷される予定になっている。
「このキャンペーンの結果、われわれは20人のチームを集めて、瞬く間にずっと堅牢なバージョンのLimaを作ることができた」とMarcombes氏は述べている。同チームは、米国、欧州、アジアにまたがるエンジニアリング、マーケティング、販売、流通の戦略を作るため、Pantech Venturesから250万ドルの追加資金を調達した。同社は米国と欧州に本拠を置く、オンラインサービスとIT企業を専門とするファンドだ。