米IBMは米国時間の2月24日、資生堂と協業して、日本国内に1万人いる「ビューティーコンサルタント」が、専用の業務アプリケーションを利用して顧客の声を収集し、新サービスや製品を開発していくと発表した。
資生堂は日本を含め89の国と地域で事業を展開している。美容業界の市場規模は世界で2017年までに2650億ドルに達すると見込まれており、同社は、ITを活用したマーケティングや技術開発に投資し、ブランド力醸成の鍵を握るビューティーコンサルタントを支援する。
ビューティコンサルタント同士が情報交換するバックエンドのシステムをIBMと構築している
日本国内すべてのビューティーコンサルタントが利用する専用端末向けアプリケーションを開発するため、「IBM Mobile First Platform」をアプリケーション基盤として採用。開発したアプリケーションには、複数の社内業務機能を実装しており、資生堂の既存システムとも連携している。ビューティーコンサルタント同士の連絡、スケジュール管理、報告、そのほかの業務改善に役立てられるという。
アプリには、ビューティーコンサルタントが情報交換できる仮想コミュニティーが設けられている。接客の仕方のコツや写真、各業務へのコメントを共有することで、チームワークを高める狙いがある。
この日、IBMはモバイル戦略における新たな施策として、既存のモバイル基盤を強化した「New IBM MobileFirst Platform」を提供すると発表した。大企業がモバイル環境を導入する際に、増え続けるモバイルアプリケーションを効率的に管理するなど支援していく。
利用企業は、モバイルアプリケーションを構築したり、サードパーティ製品を取り入れたりできる。ネイティブアプリやHTML5、ハイブリッド開発もできる。iOS開発向けに設計したバージョンも提供するとしている。
New IBM MobileFirst Platformの主な特徴は次の4つ。
・継続的な改善 アプリの使用状況の情報を収集、評価し、フィードバックする。これによりアプリのリリースサイクルを管理しやすくなる
・安全性 強化したユーザー認証機能などにより、データの漏洩を防ぐ
・パーソナライズ データ分析により文脈を読み取ることで、デジタルと実際の世界をつなぎ合わせた施策を打てる
・大容量データを扱える Database as a serviceである「IBM Cloudant」を通じてモバイルデータを企業システム上で扱えるようにする
資生堂はMobile First Platformの導入事例と位置づけられており、3日目のゼネラルセッションでは、執行役員常務の関根近子氏やビューティーコンサルタントなどが、導入効果などを話すことになっている。