米IBMでWastonを担当する最高技術責任者(CTO)で、同社に200人しかいない「フェロー」でもあるRob High氏にIBMが「Watson」で推進する認知型(コグニティブ)コンピューティングについて話を聞いた。
Watsonは始まったばかり
Watsonのコグニティブコンピューティングはまだ始まったばかり。人間の脳が持つ特性として「前後関係の理解」や「解釈する」などが挙げられるが、従来型のコンピュータはこれが得意ではなかった。
米IBMでWastonを担当する最高技術責任者(CTO)Rob High氏
コグニティブコンピューティングは、さまざまなデータをインプットすることで、コンピュータが目の前で起きている状況を理解できるようにする取り組みだ。
従来型のコンピュータである「ノイマン型」から、人間の脳と同じような仕組みを持つニューラルネットワークなどの「非ノイマン型」へとニーズが移っていくと言われている。
もちろん、ノイマン型がなくなるわけではないが、今後はパターン認識や機械学習によって機能を深めていく非ノイマン型のアーキテクチャでコンピュータが進化していくと考えている。
例えば、ガン治療について、過去のさまざまなパターンを認識することにより、患者が知らないような治療方法が最も効果的であることを分かるようになるかもしれない。こうした医療のサポートや不動産投資での選択などが、現状考えられるWatsonの具体的な利用イメージだが、可能性は幅広いと考えていい。
IBMは2月にソフトバンクとWatson事業で協業すると発表した。ソフトバンクのロボット「Pepper」とWatsonを組み合わせ、銀行で顧客への案内員として金融商品の説明をする用途を見込み、デモを披露している。
ソフトバンクとの協業は、Pepperに限定されるようなものではなく、今後さまざまな形で実施していく。今考えているのは、Watsonの日本語化だ。日本語で認知型コンピューティングを実践していくことで、Watsonが日本文化をより深く理解することになり、それが新しいビジネスチャンスを引き寄せるだろう。(談)
日本でも紹介されているPepperによる金融商品の説明