今日は、好配当利回りの投資参考銘柄について、楽天証券経済研究所のチーフストラテジスト窪田真之氏の見解を紹介する。
配当落ち直前の投資は必ずしもいいタイミングとはいえない
好配当利回りで有名な銘柄は、配当金を受け取る権利がなくなる日(権利落ち日)が近づくにつれて「配当取り」の買いで株価が上昇する傾向がある。そういう銘柄は、配当落ち日に株価が大きく下がることがあるので、要注意だ。
受け取る配当金よりも株価の下げの方が大きくなる場合が多く、そうなると、配当落ち直前での買いは失敗だったことになる。
25日は、2月決算のローソン(2651)の権利落ち日だった。その前後の値動きを見てみよう。
ローソン(2651)日足:2015年1月5日~2月25日

(楽天証券経済研究所が作成)
24日(火)終値の8090円でローソン(2651)株を買った人は2月末の配当金(会社予定で1株当たり120円)を受け取る権利を得た。ところが、翌日、権利落ちの25日(水)に、ローソン株は、前日比190円安の7900円となった。120円の配当金を受け取る権利を獲得したものの、株価が190円下がったので、マイナスの方が大きく、買いタイミングは良くなかったことになる。
一方、26日終値7900円でローソン株を買った人は、配当金120円は得られないが、25日終値で買って配当金を得た人よりも、安く買えたことになる。
ローソン(2651)は、配当利回り3.03%の好配当利回り株だ。2月末が近づくにつれて配当取り狙いと考えられる買いが増えて株価は上昇していた。反動で、2月後半および、権利落ち日に株価は下落した。
後から振り返ると、2月の配当を取ろうとして、2月12日以降にローソン株を買った人は、配当落ち日の下げでマイナスリターンとなった。配当の権利を得て、配当落ち後の2月25日にもプラスのリターンになるためには、2月10日以前に買わなければならなかったことになる。
ローソンのケースは、1つの例にしか過ぎないが、1つ覚えていてほしいのは以下だ。
- 好配当利回りで有名な株を、配当落ち直前で買うのは、得策ではない。
- 配当落ちの1~2ヶ月前が投資タイミングとして良い場合が多い。
好配当利回りの参考銘柄
2月25日のレポートで掲げた「好配当利回りの参考銘柄」を再度掲載する。

(注:株価・配当利回りは2月25日時点、楽天証券経済研究所が作成)
「好配当利回り株」は、言い方を変えると「人気があまり高くない株」だ。これは人気株は、どんどん買われて株価が上昇するので、配当利回りは低くなるためだ。一方、株価があまり大きく上がらない株は、配当利回りが高いままとなる。
人気がない理由をきちんと理解した上で、投資することが必要だ。三井住友銀行(8316)やみずほFD(8411)などの大手銀行株の投資魅力については、2月24日の「大手銀行株は長期投資対象として魅力」に書いているので、参照していただきたい。今日は、日本たばこ産業(2914)(JT)について説明しよう。