--いま注力していることは。
ソフトウェアテストをアウトソースするという市場を確立することです。テストのニーズは絶対になくなりません。それにソフトウェアの開発は、例えば官公庁のシステムではインフラに強い会社、プロジェクトマネジメントに強い会社、開発に強いSIなど得意な分野や役割があります。テストは持ち回りですが、そのポジションをSHIFTが取り始めています。
大手国内メーカーの実施している開発はモノ作りのため、コモディティ化していく要素があると思っています。だからオフショア開発がはやっているし、システムはオープンソースに置き換わる潮流にあるというのが認識です。一方、ソフトウェアは言語圏で決まるため、日本語のソフトウェアはなくなりません。
--企業がテストをアウトソーシングする理由は。
アウトソーシングされる理由は、大きく3つあります。アウトソーシングした方が品質を担保できること。2つめは、コストメリットです。3つめが一番大きな理由なのですが、自社のエンジニアのモチベーションを下げないことです。エンジニアが自分でテストするとモチベーションが下がってしまいます。正しく動くと思って作ったものを、自分で1日の半分以上テストに費やすことになればモチベーションも下がりますよね。会社にとっても、優秀なエンジニアには開発やコンサルティングなど上流の仕事をさせたいはずです。
--テストのアウトソーシングが主流でない理由は。
社内でテストをする慣習があるからです。アウトソーシングの割合は、今後もっと増えていくと思います。今はITが基本的に上り調子なので開発者の人口が足りない状況です。伸びている会社はテストにリソースを割いている場合じゃない。
企業では、企画や開発に優秀な人を振り分けたいものです。テストは彼らよりわれわれの方が得意であり安い。経営者によっては、そこに「選択と集中」する。
とはいえ、3~4割はインハウスのままでしょう。それは企業向けプリンタのビジネスモデルと同じで、プリンタは普通社内に置きます。一方、社外でラクスルのように印刷が安くできるところもあります。社内でのプリントは緊急性が高かったり機密情報が入っていたりします。社外は安価だけれど時間がかかるとすると、利用する側は使い方を場合分けします。テストも同じで、緊急性や機密性が高ければ社内でテストするでしょうし、そうでなければ安いアウトソーシングを利用することになるでしょう。