--海外にも展開している。
ソフトウェアテストの海外展開は、まず言語圏を意識しており、アウトソーシングは労働コストの差で展開が異なります。日本語圏は日本しかないので、東京で仕事を取ったら札幌と福岡などでアウトソーシングして仕事をするべきです。日本語ネイティブではない、ベトナムでは無理ですよね。一方、米国は北米が一番コストが高いので、そこで取った仕事はインドやバングラデシュ、ネパール、もしくは同じ時差のブラジルなどで仕事をします。
われわれはまずインドに拠点があるため、現在は200~500人のSI会社を子会社化してわれわれのやり方でソフトウェアテストを回していくことをやりたい。それがうまくいったら、時差のないブラジルや米国内のオースティンなど安いところになります。今はウォーターフォールからアジャイルへ開発手法が展開されているため、1日~半日経ってテストを開始するのでは遅く、同じ時差でテストできるようにしたい。それができたら中国語圏、上海や北京などの沿岸部で仕事を取って、(所得水準に沿岸部と差がある)内陸部の武漢や西安などで展開したいですね。
--今後の展望は。
エンタープライズのテスト、品質保証の領域で官公庁のシステムもちゃんと回している会社にしたい。今はまだ定常的に担当しているわけではないですから。
また、業界としては、テストエンジニアが評価される時代にしたい。現在はテストエンジニアは開発者より下にみられがちです。そのため、人材の確保も難しい状況です。
現在プログラマーは引く手あまたです。今まで文系の人材がマネージャーやファンドマネージャーになって稼ぐという時代から、エンジニアでもファンドマネージャーと同じくらい稼げる時代になりました。テストエンジニアも同じくらい、1000万円くらい稼げるキャリアだという状態をここ5年くらいで作りたい。
そのためには、SHIFTの規模を大きくする必要があります。官公庁のシステムをテストできようるになると、専門の技術を持った会社とみられるようになります。当然、その会社は受注にみあう技術を持っていなければならないので、自然と目線が上がります。
もうひとつは、世界の状況で見ると、概念的な話ですがグローバル化があります。(人口減などマーケットが縮小する)日本はグローバルになってゆかざるを得ません。日本国内は日本語に守られていますが、外に出た瞬間、グローバルの波にさらされます。そこで考えられる武器は国民性です。英語や数学のようなロジックはコモディティ化しているので、その国の特徴で戦うようになると思います。
日本人は(“Kaizen”など)品質管理や生産管理が得意な国民性があります。そうすると、米国やヨーロッパでソフトウェアを考えたら、作るのは中国やインド、品質保証を日本で担って出荷に至るような世界になるのではないでしょうか。現在、iPhoneを作っているのはFoxconnで、世界の工場を台湾が担っています。Appleはもはやデザインだけを担当しています。国としてのアイデンティティが産業に集約されていくと思います。