ビジネス変革の主役「API」を生かす4つの収益モデル

鈴木恭子

2015-03-06 07:00

 CA Technologiesは近年、アプリケーションを通じて新たなビジネス領域を拡大する「アプリケーションエコノミー」の重要性と、それに対応するビジネスモデル変革を主張している。同社のデータによると、2013年に9兆2400億円だったアプリケーションエコノミーの市場規模は、2017年には18兆1200億円に達するという。


米CA Technologiesでバイスプレジデント プロダクトマネジメント部門API管理担当を務めるPhilip Walston氏

 アプリケーションエコノミーを下支えするのが、アプリケーションを迅速に開発/展開できる基盤だ。中でも既存システムとアプリケーションとを連携させるウェブAPI(Application Programming Interface)管理は、重要な役割を占める。

 米CA Technologiesでバイスプレジデント プロダクトマネジメント部門API管理担当を務めるPhilip Walston氏は、「ウェブAPI管理は、アプリケーションエコノミーの根幹を担う。われわれにとっても重要なビジネス基盤だ」と力説する。今後、ウェブAPI管理を取り巻く市場はどのように変化するのか。その中でCAはどのような戦略で同市場にアプローチするのか。Walston氏に話を聞いた。

これからはウェブAPI自体で儲ける

 米Gartnerは「2015年の戦略的テクノロジトレンドのトップ10」に「ソフトウェア定義のアプリケーション/インフラストラクチャ」を挙げ、「質の高いウェブAPIが(アプリケーションへの)アクセスを担うようになっている」と指摘している。

 ウェブAPIの活用機会は増加している。しかし、その目的は、既存データとアプリケーションを連携させるための「手段」であり、ウェブAPI自体が利益を生み出すまでには至っていないのが現状だ。この点についてWalston氏は「ウェブAPIのマネタイズには、4つのビジネスモデルがある」と説明する。

 1つ目は、フリーミアムと呼ばれる「無償提供モデル」だ。アプリケーション開発者に対してウェブAPIを無償提供し、高品質なアプリケーションを作ってもらうことで、ブランド力の強化や顧客ロイヤリティの向上などを狙う。多くのウェブAPIが無償で利用されている現状を考えれば、いちばん受け入れられやすいモデルだろう。

 2つ目はウェブAPIを使うときに料金を徴収する「課金モデル」である。使用単価を低く設定する必要はあるものの、使用回数が増加すれば一定の収益を期待できるモデルだ。

 3つ目はアプリケーションにチャージする「コミッションベースモデル」である。オンラインリテールなどで利用されるアプリケーションで、ユーザーのトランザクションが発生するごとに課金されるモデルだ。アプリケーションの優劣によってユーザー数が増減する可能性も考えられる場合に、有益なモデルだろう。

 4つ目は、ウェブAIPやアプリケーションの利用に課金するのではなく、アプリケーションを通じて得た売り上げの数%を徴収する「間接売り上げモデル」である。AIPの活用で顧客企業がビジネスを拡大することで、間接的に利益を得る。

 Walston氏は「ウェブAPI管理は、モバイルユーザーを対象としたモバイルアプリの開発分野で力を発揮している。米国では決済系アプリの開発が増加しており、セキュリティを担保できるAPI管理に対する需要は高い。そうなれば今後は、課金モデルやコミッションベースモデルが主流になり、ウェブAPI自体のマネタイズが実現できる」と語る。

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