ウェブAPIはIoTの陰の立て役者
ウェブAPI利用が加速するもう1つの要因は、IoT(Internet of Things)の普及である。2014年9月、IT専門の調査会社である米IDCは、同市場が2013年の1兆3000億ドルから、2020年には3兆400億ドルに拡大するとの予測を発表した。また、同社日本法人であるIDCジャパンは2015年2月、日本国内のIoT市場が、2014年の9兆4000億円から2019年には16兆4000億円に達するとの見通しを明らかにしている。
Walston氏は、「IoT市場にはハードウエアベンダーだけでなく、製造業やスタートアップ企業などが参入し、独自に製品開発を進めている。市場が巨大になることは間違いないが、それぞれが分野ごとに“断片化”しているのが現状だ。ただし、どのような分野においても、ウェブAPIなしでIoTは実現でなきない。そこに我々のビジネスチャンスがある」と語る。
IoTが参入している市場として挙げられるのが、自動車分野である。インターネットに接続された「コネクテッドカー」をはじめ、スマートフォンなどと連携し、自律走行を可能にする「スマートコネクテッドカー」なども続々と登場している。Walston氏は、「IoTは自動車会社のビジネスモデルを変革する“パワー”を持ち始めている」と指摘する。
例えば、ドイツのDaimlerは自動車を「販売する」モデルから「サービスとして提供する」モデルに変革した。同社は、分単位で課金するというカーシェアリングサービス「car2go」を提供している。課金は1分単位であり、ユーザーはどこで乗り捨てても基本的に問題ない。
「こうしたサービスは、ユーザーにとってはシンプルなサービスだが、バックエンドでは、複数のシステムが複雑なプログラミングをやり取りしている。それを可能にしているのがウェブAPIだ」(Walston氏)
また、異なるデバイス間でも利用サービスを継続できる「セッションマイグレーション」に対するニーズも増加してくることが予想される。セッションマイグレーションではセキュリティ/認証のほか、通信の最適化も不可欠だ。
Walston氏は「多くの企業はウェブAPI管理の重要性に気づきはじめている。CAはセキュリティ基盤である“CA API Gateway”を提供しているが、同製品には2002年から培ったセキュリティのハウツーが凝縮されている」と、その優位性を強調した。