IBMはスペイン時間の3月2日、業界ごとに顧客が課題の解決を図れるようにするため、Appleと共同で「IBM MobileFirst for iOS Apps」のポートフォリオを拡張したと発表した。同日から提供を開始しており、カスタマイズもできる。既に、CitiやSprint、Air Canadaなど50社以上が採用しており、顧客の目線に立ち、従来とは視点の異なるアプリケーションをすばやく構築する手法に、本格的に取り組む。
MobileFirst for iOS Appsでは、旅行・運輸や小売り、銀行・金融サービスに向けた業種特化型のモバイルアプリをを提供する。数億人に上るユーザーが、仕事の役割と効率性を高められる可能性があるとIBMは強調する。
旅行・運輸の「Passenger Care」で、サービスエージェントはどこにいても旅行者の要望に対応できる。パーソナライズ化された体験を旅行者に提供。チェックインを迅速化し、空港の混雑を緩和できるようになるとのこと。
小売りの「Dynamic Buy」は、これまで購入の意思決定を経験や勘に頼る傾向があった小売業界の仕入れ担当者向け。製品の性能や季節ごとの推奨事項などについてリアルタイムの見通しとデータに基づく提案を得られるため、投資収益率(ROI)を向上させられるとしている。
銀行・金融サービス向けの「Advisor Alerts」は、アナリティクスを活用し、金融担当者による外出先での顧客関連業務の優先順位付けを支援する。担当者が十分な情報に基づいて適切なタイミングで意思決定できるようにする。
カスタマイズされたアナリティクスに基づき、パーソナライズ化されたダッシュボードからアドバイザーに最重要事項を伝えられるという。
IBMとAppleのパートナーシップを担当するIBMゼネラルマネージャーのFred Balboni氏は「AppleとIBMは、仕事のやり方を変革する新たなカテゴリのビジネスアプリケーションを開発するため、パートナー関係にある。数百万人の従業員が社外で情報を取り込み、処理し、利用するようなスタイルに変革することを目指している。目標は、すべての従業員がiOSデバイスを使って、時間や場所を問わずに利用できるようにすることで、あらゆる企業のパフォーマンスを上げること」としている。
Air Canada、American Eagle Outfitters、Banorte、Boots UK、Citi、Sprintなど50社以上の企業が契約に至っている。
Boots UKのマルチチャネル担当ディレクターであるRobin Phillips氏は「優れた顧客サービスを提供することがBootsの顧客体験の中核にある。モバイルテクノロジによって顧客に新たなレベルの利便性とアクセス性を提供できる」とコメント。
Boots UKは、小売り支援アプリの「Sales Assist」(試行版)でスタッフがそれぞれの接客機会を個々の顧客に応じたユニークな体験に変えられるようにするという。Bootsのスタッフが、リアルタイムで在庫を確認したり、店内で簡単に発注業務をしたりできるようにした。