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電力小売り自由化へ--アベノミクス3本目の矢へ期待 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2015-03-05 11:09

発電部門の効率化が鍵

 電力自由化が進むとかえって個人向けの電力料金は上昇すると、イギリスなどの事例を引き合いに出して語る人もいる。確かに発電部門の効率化が進まず、小売りだけ自由化しても、料金低下は期待できない。発電部門の効率向上と小売りの自由化が同時に進むことが重要だ。

 窪田氏は、日本の発電コストはこれから自由化によってさらに大きく下げる余地があると考えているという。その恩恵が、自由化後に国際的に割高な個人部門の電力料金にも及ぶことを期待される。なお、原発だけは今後、発電コストが大幅に上昇することが予想される。原発以外のあらゆる発電手段のコストを大幅に低下させていくことが鍵となる。

 電力自由化が、いかに発送電の効率化につながるかが重要だ。日本の送電システムは世界でも稀に見る高効率で、送電ロスは5%程度と低く、ここからさらなる改善する余地は小さいかもしれない。鍵は、発電事業がどこまで効率を上げられるかにある。現時点では机上の空論だが、自由化が完成した後には、以下のようにさまざまな低コスト発電のアイディアが実現するかもしれない。

  • サハリン(ロシア)からパイプラインを敷設して安価なガスを大量導入し、低価格のガス発電を始める
  • 大容量で高性能の蓄電池を使い、安価な夜間電力を大量に買い集めて、価格の高い昼に売る
  • グリッドパリティ(既存の電力会社の発電コストと同等レベル)まで発電コストを下げたメガソーラーを過疎地域で大規模展開して高い収益を上げる。大規模農業と同時に展開して地方創生につなげる案もある
  • 日本に豊富にある良質な地熱資源を活用した低コスト発電を日本の主要電源の1つに育てる

 上記のアイディアは自由化だけで実現するものではない。ロシアとの政治交渉や大規模蓄電池の技術向上、グリッドパリティ実現など、さまざまな技術革新が必要だ。

 窪田氏は先週、東京ビッグサイトで開催された二次電池・太陽電池展などを視察して、技術革新が速いことに驚きを感じたという。現時点では机上の空論としか思われないことでも、電力自由化が完成する2020年には実現が視野に入るかもしれない。

アベノミクス3本目の矢へ期待

 アベノミクスの3本目の矢、成長戦略の効果が出るのが遅いことを批判的に語る人もいるが、やや近視眼的と思われる。1本目の矢(金融緩和)、2本目の矢(公共投資)は、やればすぐ目に見える効果が現れる。

 ところが、3本目の矢の柱となる「規制緩和」には、やってすぐ効果が出るものはほとんどない。すぐに効果はなくとも、長期的に日本経済の足腰を強くするのが3本目の矢だ。成長戦略を発表した直後に日経平均が下がると「市場は成長戦略を失望した」のように解説する風潮があるが、それはあまりに近視眼的だろう。

 農業強化、地方創生、電力自由化、水素社会実現などに必要な規制緩和は足取りは遅いように見えるが、少しずつ前に進んでいると思われる。

 過去記事は、キーワード「日本株展望」から読めます。

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