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参入障壁を意識したサービスづくり--「NewsPicks」のユーザベースCTO - (page 3)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2015-04-02 17:35

--チーム体制で工夫している点は。

 さまざまなバックグラウンドを持つ人物をあえて同じチームに入れることです。私は、さまざまな技術、考え方を持っている人が集まった方が、そこから組み合わせで新しい技術や考え方が生まれると思っています。そういう意味では、社内のエンジニアにはいろいろな技術を使って欲しいと思っていますし、さまざまな分野の人を採用しています。実際にユーザベースの初期からいるエンジニアで、梨農園で働いていた人もいます。


 それとは別に、本気で検索技術を仕事にしていたエンジニアや、金融関係のエンジニアもいます。さまざまな考え方を持っている人達がいて、たとえばプロダクトを作るにしても、今までウォータフォール型のシステム開発しか経験がない人がいたり、ウォータフォールよりアジャイルの方がいい面もあると言っている人もいます。これは私もそうです。アジャイルもいろいろな派閥があって、主張していることがちょっとずつ違うのですが、それぞれのいい面を組み合わせたら、もっとおもしろい、いいやり方ができるのではないかと考えています。

 ただ、技術でいうと何でもかんでも取り入ればいいという話ではなく、目的を意識して技術を使って欲しいと常に言っています。

 例えば先ほどのelasticsearchは、全文検索がすごく速くできるツールなのですが、リレーショナルデータベース(RDB)で扱うべきデータを入れてしまうと扱いづらくなったりします。RDBは実績があり、有意な点がたくさんあります。その良さが生きるような使い方をして欲しいという話はよくしています。

 ただ、多様性があるとはいえ、そもそもユーザベースは原則となるルールを掲げています。それに共感できる人達と一緒に働いているので、その軸がぶれなければ会話はちゃんとできると思います。特にユーザーのことを考えてものを作っていこうという姿勢はすごく重要で、ユーザーのためだからこうした方がいいとか、議論が常にできる環境になっていると思います。

 その軸というのは、サービスがどう使われるのか、どういう世界を実現したいのかという意識です。

 できる限り自由な環境や裁量を与えていますが、自由には責任が伴うという考えが根底にあります。そういう意識を持って働くことで、働きやすい環境になると思います。

 一般的に、ビジネスサイドとエンジニアに壁があるとか、コミュニケーション取りづらいという話も聞きますが、われわれは創業当時から、プロダクトをよりよいものにするために、常にビジネス側とエンジニアが一緒になって考えており、ビジネス側とエンジニアが必ず一緒になって開発することを経営陣が意識している点もポイントです。

 私自身も、ビジネスサイドが言ってくることをそのまま鵜呑みにせずに、もっといいものがないかを必ずビジネスサイドと一緒に考えていく姿勢を取っています。そういう姿勢をみんなに見せることで、新しく入ってきた人も、そういう働き方があるんだということに気づけますし、それが楽しいと感じてもらえると思っています。

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