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担うべきは調整--デジタル化が迫るIT部門の在り方、“バイモーダル”が重要 - (page 2)

三浦優子

2015-03-10 10:46

 「この二重人格的要素を取り入れることが必要。堅牢性はこれまでもIT部門が提供してきたスキルだが、流動性への対応は新しいことを進めていくためには必要なこと。これまでのように変化に反応するだけでは、俊敏に反応しきれない。今後、新しい組み合わせ、融合といったことを実現し、物理的にはできなかったことを実現していくためには、イノベーションをIT部門が拡大する原材料として、企業が変化する際の重要な要素にIT部門がなっていかなければならない」

 実際にテクノロジの変化が企業、そして企業にとどまらず業界全体を変えていった例としてAmazon、Uberといった変革者を例として挙げた。

 「私の娘には、テレビ局のチャンネルという概念がない。HuluやNetFlix、そしてYouTubeを日常的に利用しているため、番組とはクリックしてボタンを押せば見られるものと思っている。彼女にとってのスターは、私が全く知らない、YouTubeの人だ。こういうユーザーが増えてくる時代に堅牢性と流動性の2つの要素を持った、二重人格的なバイモーダルITを目指すべきだ」

 バイモーダルITには、企業のITに不可欠な堅牢性を保持する“モード1”と流動性を実現する“モード2”と2つの要素が存在する。モード1では従来の企業ITの価値観でITセントリック、効率性といった価値をもつのに対し、モード2では顧客第一主義でユーザー体験、事業拡大と異なる価値をそれぞれ持っている。

 「企業はモード1だけでは駄目で、モード2だけでもバランスに欠ける。それを示すのが色々なデバイスの利用時間と利用頻度の違いだ。ラップトップは1日あたり1時間で、スマートフォンには1分程度の利用が20回程度、ウェアラブル端末には1秒程度の利用が200回程度となるという。このアクセススピードの違いを見ると、アプリケーションの大きさを端末の大きさに合わせて小さくするだけでは十分ではないことがわかる。利用時間にあった、全く異なるアクセスのスピードが求められる。アプリケーション開発に関わる手順も従来とは異なる。従来のような要求項目に応じて行うものではなく、“デジタルヒューマニスト”というべき、人に始まり人に終わるようになる。人を観察し、人の動きに合わせたアプリケーションを開発するようになる」

 Driver氏は将来のユーザー体験についても言及し、「2020年にはテクノロジとの主なやりとりは、スマートマシンを介したものとなる。あと10年すれば、キーボードはレガシーデバイスになるだろう。現在の紙と同じくらい、キーボードに馴染みがない世代が生まれるだろう」と入力手段が激変していくと予測した。

 また、ソフトウェア開発において「20世紀の知的財産権は大きく変貌し、全てがオープンになり、特許は消えていく」とも予測。「新しいソフトウェアデザインが必須になる。すべてをソフトウェアで定義するアーキテクチャで、異なるイベントを異なるデバイスから拾ってきて実現するようになる」と複数のサービスやデバイスを介して実現するものが登場するとした。

 こうした新しい世界で企業のIT部門がどんな価値を生み出すかについては、「あまりに多くのことを追求しようとすると、中程度の質ものしか提供できない。むしろ、提供するものを絞り込んで、質の高いものだけを提供する方が評価は上がる。質の高いものを提供できないと判断した場合には、全く手がけないというのも一つの判断となるだろう」と質の高いものを絞り込んで提供するという判断が必要だとした。

 特にモード2、新しい変革を起こしていくための流動性は従来のIT部門にはなかった新しい要素となる。これを社内に定着させていくためには「失敗があってもそれを攻めるのではなく、成功を賞賛する体制を作ること。たくさんの失敗を行い、その経験から学び、それを踏まえて成功体験を作っていくべき」と失敗を恐れずに新しい挑戦を行う姿勢が重要だとした。

 Driver氏は、次のように話し講演を締めくくった。

 「ダーウィンの言葉にあるように、強いものが生き残るのではなく、変化を受け入れたものが生き残っていく。ITは1社に止まらず、企業間連携で実現するものとなり、事業部がITをIT発生源となる。IT部門はもっと広い視野でITを支える役割へと変わっていくべきだろう」

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