追記:この原稿の仕上げをしていたら、「GigaOMが資金繰りに窮して営業を停止した」というニュースが流れていた。ウェブサイトをみると、当日の午前中にあったApple Watch発表イベントの総括記事や、今週からオースティン(テキサス州)で始まる「SXSW2015」に触れた記事なども掲載されているので、かなり急な「店仕舞い」だった様子もうかがえる。
2006年にGigaOMを立ち上げ、2014年2月に現場から退いていたMalikも「自分がはじめた会社がこんなふうに終わるなんて」などとする記事を自分のブログに上げている。
GigaOMには、携帯通信系やブロードバンド行政、グリーンテック系などを専門分野とするベテラン記者が何人かいて、玄人受けしそうな堅め、地味めな話題を分かりやすく記した解説記事などをよく出していた――例えば前日の9日にも、Teslaがネバダ州に建設中の巨大バッテリー工場(「GigaFactory」)の建設現場の現状を伝えた写真付きのレポートがあがっていたりした。そういう老舗媒体の「突然の閉鎖」を惜しむ同業者の声などが、Techmeme/Mediagazerに集まった各媒体の記事の見出しやツイートの中にも目立つ印象。
ただ、GigaOMの収入源(マネタイズの手法)はイベント、広告、有料レポート販売と、いずれもコモディティ化が進んでいるもので、またNBC Universalの支援を受けたRe/codeのように大資本の後見があるわけでもなかったので、ある程度の人員を抱えてやっていくには一番厳しそうな状況だったのかもしれない。
(文中敬称略)