ペイロールは、2016年1月から運用を開始する社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度の施行に備え、事業会社を対象に従業員や扶養家族などのマイナンバーを管理するための「マイナンバー管理サービス」を3月13日から開始すると発表した。
「社会保障・税制度の効率性・透明性の確保」と「国民にとって利便性の高い公平・公正な社会の実現」を目的に、国民全員に個人番号を割り当てるマイナンバー制度の運用が2016年1月から開始される。
代表取締役社長の湯淺哲哉氏
これに伴い、民間企業では「給与事務、法定調書作成等の事務(個人番号関係事務)」にマイナンバーの記載が必須となり、マイナンバー情報の収集と管理などを考慮した運用と、人事給与システムへの対応が必要だ。人事給与システムは企業の特性に合わせて個別開発やカスタマイズされているケースもあり、重要な個人情報となるマイナンバー情報の取扱いに対するセキュリティを確保しなければならない。
代表取締役社長の湯淺哲哉氏はマイナンバ―がもたらす企業への影響について、「情報漏えいリスクの発生」が 38.7%、「業務量の増加」 は16.0%、「業務プロセスの煩雑化」が10.7%という2014年9月の調査結果を紹介した。
これらの項目に対し、企業が単独で対応を検討した場合、情報漏えい対策として、「組織的」「人的」「物理的」「技術的」な管理が必要とした。また、全従業員と扶養家族のマイナンバ―を回収、登録し、書類や帳票への印字して行政に提出するためには、「規定、ルールの構築」「システム構築、回収」「マイナンバ―回収や登録に当たっての番号確認や(運転免許証などでの)身元確認」「マイナンバ―の保管、確認」などに対応しなければならない。番号の回収に際し、従業員に対して、担当者が直接管理する必要がある点、個人情報とマイナンバ―を切り離して保有するシステムを構築する必要がある点など、業務プロセスを変える必要がある点も指摘した。
これらに対応するアウトソーシング事業として同社が発表したのが、マイナンバ―の申請や収集、管理に企業が関わらないビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)のマイナンバー管理サービスだ。
マイナンバー管理サービスでは、依頼企業の従業員に対し、ペイロールが直接対応する。企業がペイロールにサービスを依頼すると、「マイナンバ―キット」を作成して発送。依頼企業の従業員から、マイナンバ―を受け取り、本人確認をした後、マイナンバ―を登録、利用、保管し、マイナンバ―付きの法定調書を作成できる。
マイナンバーシステムに要求される個人情報と、マイナンバ―の完全独立方式に準拠し、マイナンバー情報を保有するサーバと個人情報を保有するサーバを分けることでセキュリティを担保しているとした。
サービスの導入により、企業が対応しなければならない、申請書の見直しやシステム改修など業務プロセスの煩雑化を回避することができると説明しており、3年間で7億円の売り上げを目指す。
湯淺氏は「情報漏えいリスク、業務負担の増加、設備投資のすべてに対応する。マイナンバ―対応などより、採用など人事部門が注力するべきことに集中できる環境を作りたい」と訴えた。
ペイロールは、既存顧客企業や給与計算業務で大量処理のノウハウを持つため、アルバイトを多く雇っている飲食店などの大規模企業を中心にサービスの導入を展開するという。従業員5000人程度の場合、料金は、初期費用のデータ移行、システムトレーニングに50万円、2016年1月の初期登録などが1人400~500円。マイナンバーの回収や管理、本人確認、源泉徴収票納品、監査対応に年1人400~500円。
マイナンバー管理サービス