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日経平均が一時1万9000円、ギリシャ問題の行方 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2015-03-13 11:06

統一通貨ユーロの幻想

 今になってみると、そもそも経済構造がまったく異なる欧州の国々が統一通貨を持てると考えたこと自体が幻想だったと思われる。

 ギリシャ危機は、2008年の世界的な金融危機によって引き起こされたように見えるが、そうではない。恒常的に財政赤字を続けてきたことから危機の芽はそれ以前からあった。事態が悪化するまで問題が表面化しなかったのは2001年以降、ギリシャが統一通貨ユーロを使用していたことが関係している。


(2014年はIMF予想、出所:IMF)

 もし、ギリシャがユーロに加盟せず、通貨ユーロを使用していなければ、ギリシャの通貨ドラクマは2001年以降、経常赤字の拡大とともに、対ユーロ・対ドルでじりじりと下落し続けたはずだ。通貨が下落すれば、輸入インフレが引き起こされ消費が抑えられる。一方、観光業・海運業など外貨をかせぐ自国産業は通貨安で活性化する。経常赤字拡大→通貨下落→経常赤字減少という「教科書的な為替調整機能」が働いていたはずだった。

 ところが、ギリシャはユーロを使用し、ユーロは対ドルで上昇が続いたため、為替による調整機能が働かなかった。ユーロを使い続けていた恩恵で、経常赤字を拡大させても通貨安による輸入インフレに見舞われることがなかった。それで、さらに経常赤字が拡大するという構造に陥っていた。

 ギリシャと同じ問題を抱えたEU加盟国は他にもあった。それらの国をすべて相対的に経済が健全なドイツだけで支えていくのは無理だ。ギリシャ問題をいつまでも引きずると、統一通貨ユーロの矛盾がさらに拡大していくことになりかねない。

ドイツのしたたかな計算

 日本から、こうしたEUのドタバタを見ていると素朴な疑問にとらわれる。なぜドイツは、ギリシャをEUから切り捨てる決断ができないのだろうか? ギリシャを切り捨てるリスクは大きいが、切り捨てないリスクも同様に大きくなってきていると思われる。

 ドイツは、ギリシャをEUに囲い込むことによってメリットも受けている。ギリシャをはじめとする信用不安国と通貨ユーロを共有しているおかげで、通貨ユーロには売り圧力がかかる。これは、輸出産業が強いドイツにとって大きなメリットだ。ドイツは、ギリシャ支援で損しながら、通貨安ではメリットを取るしたたかな計算をしているように見える。もし、ギリシャをEUから切り捨てれば、通貨ユーロの信頼は二重に高まる。

  1. ギリシャ支援でロスが膨らむ不安が解消する
  2. 切り捨てられたギリシャ経済の悲惨な姿を見て、他の過重債務国がさらにまじめに緊縮財政に取り組むようになると思われる。

ギリシャ問題の今後の行方と日本株への影響

 ギリシャは2009年に信用危機が表面化して以降、緊縮財政を続け、その効果で経常収支は改善した。当時GDP比15%もの経常赤字を抱えていたが、2014年は経常黒字の見込みだ。その過程でギリシャ人の実質賃金は40%余り下がったと推定される。相当苦しんで立ち直りつつあったのは事実だ。ギリシャは緊縮財政疲れで過激な反動が出ているが、それでも最悪期よりは改善している。

 今後、EUとドイツは、ギリシャと難しい交渉を繰り返しながら、だらだらとギリシャ支援を続けていくことになりそうだ。

 なお、ギリシャ問題が日本の経済や株に直接与える影響は限定的と思われる。

 過去記事は、キーワード「日本株展望」から読めます。

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