Pivotalジャパンは3月12日、2015年の事業戦略を発表。同日付でエンタープライズ向けビッグデータ領域の統合パッケージ「Pivotal Big Data Suite」の提供を開始した。米国市場では2014年から提供されている。
Big Data Suiteを構成するソフトウェアである「Pivotal HAWQ」「Pivotal Greenplum Database」「Pivotal GemFire」の3つは、オープンソースソフトウェア(OSS)化が進められている。OSS化は競合が登場するリスクもあるものの、「業界横断的なエコシステム構築には有効な手段」(Pivotalジャパン カントリー・マネージャー 正井拓己氏)と判断したことからOSS化を選択。今後、Big Data Suiteを構成する製品を段階的にOSS化する計画だ。
Pivotalジャパン カントリー・マネージャー 正井拓己氏
「PaaS基盤ソフトウェアのデファクトスタンダード(事実上の標準)であるCloud Foundry(CF)にエンタープライズ向け機能、商用サポートを付加した“Pivotal Cloud Foundry”を2014年から提供したが、出荷開始から1年未満で4000万ドル近い売り上げとなった。今回、ビッグデータ領域でもOSS化を進めていく」(正井氏)
東京にアジャイル開発チームの拠点
Pivotalジャパンは2015年の戦略として以下の4つを事業戦略として展開していく。
- モノのインターネット(Internet of Things:IoT)や次世代クラウド基盤に向けた総合ソリューションを提案し、通信や製造、サービスプロバイダー(SP)、システムインテグレーター(SIer)の各ベンダー向けビジネスの一層の拡大
- 日本でのアジャイル開発プロジェクト推進のため、「Pivotal Labs Tokyo」の設立とDevOpsや継続的インテグレーション(CI)の実装を提案
- Hortonworksと戦略的に提携し、“Open Data Platform(ODP)”による標準化を推進するほか、ビッグデータ領域でのビジネスパートナーとの協業、クラウド領域でのパートナー企業との共同プロジェクト推進など国内パートナーとの協業を推進
- 新規プログラムなどの製品トレーニングの拡充
2014年にPivotalは、CFを開発するための団体である「Cloud Foundry Foundation」を設立した。同団体には、PivotalのほかEMCやIBM、Hewlett-Packard(HP)、SAP、Rackspace、VMwareなどが参加している。クラウド領域でCloud Foundry Foundationの成果を生かした商用ディストリビューションのPivotal Cloud Foundryは初年度から順調にユーザー企業を獲得したという。
ビッグデータ領域では、関連ソフトウェア売り上げが1億ドルを突破し、特に総合パッケージのBig Data Suiteが売り上げを伸ばしたと説明。アジャイル開発領域では、エンタープライズのユーザー企業拡大が加速するなど、3領域でともにユーザー企業の拡大が進み始めたという。
日本法人の場合「2013年には売り上げのほとんどがビッグデータ関連だったが、2014年はビッグデータ関連とアジャイル開発、クラウド関連で売り上げはほぼ半々となった。トータルソリューションを提供する企業という認知が広まったのが2014年ではないか」と正井氏は分析する。
ビッグデータ領域では70社に導入し、新たにデータサイエンスビジネスの立ち上げ、東芝ソリューションとのアジャイル開発プロジェクトの共同アナウンス、CFの推進といった実績を残した。
2015年には、クラウド分野では引き続きPivotal Cloud Foundryを最重要商品として推進する。同ソフトは、OSSのCFに運用管理やビッグデータ、モバイルといったPivotalの持つソフトウェアを統合し、エンタープライズサポートを付加したもの。米国では通信業トップ3社のうち2社、Fortune 500のうち7社がIoT基盤として採用している。日本でも製造業のIoT分析基盤、次世代ウェブ基盤、SP向けPaaSとして導入されている。
Pivotalジャパン テクニカル・ディレクター 仲田聰氏
日本法人は、2014年にビッグデータ領域で分散並列プログラミングフレームワーク「Apache Hadoop」を活用したビジネスを本格的に立ち上げている。
Pivotalのビッグデータ関連製品で「ベースとなるのが“データレイク(Data Lake)”アーキテクチャ。従来のエンタープライズデータウェアハウス(EWH)と異なり、事前に目的を確定した目的別データだけでなく、生データも扱える。データソースもリアルタイムのデータ収集、マイクロバッチによる投入、バッチ処理による投入に対応し、分析レイヤ、アクションレイヤなど異なるものを一つのアプリケーションに見えるようなアーキテクチャを持っていることが特徴」(Pivotalジャパン テクニカル・ディレクター 仲田聰氏)