「IoT・ビッグデータ革命」を起こすには - (page 3)

Charles McLellan (CNET UK) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2015-03-18 06:15

 EMCのBill Schmarzo氏によれば、これらのチャンスが実現するには、特定の事業ニーズを満たす新世代のIoTアプリケーションが必要となる。たとえば、予防的メンテナンス、損失防止、資産活用、在庫追跡、災害計画および復旧、ダウンタイムの最小化、エネルギー消費の最適化、デバイスのパフォーマンス有効性の向上、ネットワーク性能管理、施設稼働率の向上、容量計画、需要予測、価格の最適化、価格調整、ロードバランシングの最適化などだ。

 これらのIoT・ビッグデータ革命の道具立てが揃えば、大きな経済的価値が生まれる。たとえば、Ciscoは2013年に2つの調査を行い、IoEから得られる経済価値を評価しており、民間部門で14.4兆ドル、公的部門で4.6兆ドルという数字を出している。

 Ciscoの予想では、民間部門では主に資産活用(2.5兆ドル)、従業員の生産性向上(2.5兆ドル)、サプライチェーンおよびロジスティクス(2.7兆ドル)、顧客体験(3.7兆ドル)、製品を市場に出すまでの時間短縮を含むイノベーション(3.0兆ドル)の5つの分野で価値が生まれると予想している。公的部門で主に寄与するのは、職員の生産性向上(1.8兆ドル)、防衛分野(1.5兆ドル)、経費削減(7400億ドル)、住民体験(4120億ドル)、収益増加(1250億ドル)だ。

 IoEやIoTに関してはよくあることだが、Ciscoの経済価値に関する予測は楽観的すぎる。ほかのアナリストの予想は一般にもっと保守的なものだ。ただしそれでも、挙げられている数字はかなり大きい。

IoTとビッグデータから価値を生み出す際の障害

 IoTとビッグデータの組み合わせから期待される価値を得るには、乗り越えるべき障害がいくつもある。主な障害は以下のようなものだ。

標準

 IoTが効果を発揮するには、デバイスやアプリケーションが有線または無線のネットワークで安全にデータをやりとりできるフレームワークが必要だ。この分野の代表的なプレイヤーの1つが「oneM2M」だろう。oneM2Mは7つの標準化団体と5つの国際ICTフォーラム、200社以上の企業(主に通信業界とIT業界)を含む統括団体だ。同団体は2015年2月に、要件、アーキテクチャ、APIの仕様、セキュリティソリューション、一般的な業界プロトコルへのマッピング(CoAP、MQTT、HTTPなど)をカバーする10件の仕様からなる「リリース1」を公開した。「リリース1は実績があるプロトコルを利用し、業界セグメントを超えて、これまでは通信できなかったアプリケーションが互いに通信することを可能にするものだ。これはM2Mを前進させるだけでなく、実際にモノのインターネットを可能にする」と、Alcatel-LucentのM2Mおよびスマートグリッド標準の責任者であり、oneM2M技術総会議長のOmar Elloumi氏は声明の中で述べている。

 oneM2Mはまた、その目標の背景を理解するのに役に立つホワイトペーパーを公表しており、次のように述べられている。「異なる業界間およびアプリケーション間の相互運用性に対するニーズは高まっており、業界に閉じたアプローチから、インターネットに接続された自動車、ヘルスケア、スマートメーター、緊急サービス、地方自治体のサービス、およびエコシステム内のその他の多くの利害関係者をひとつに繋ぐ、共通のプラットフォームの構築を含むアプローチへと移行する必要がある」

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