Violin Memoryは3月18日、オールフラッシュストレージ製品に関する記者説明会を開催。米国で2月17日に発表された新ラインアップである、「Violin 7300/7700 Flash Storage Platform(FSP)」シリーズの特徴を解説した。国内出荷はすでに開始している。
Violin Memoryは2005年に米国で創業、オールフラッシュアレイのパイオニアと目されている。NANDフラッシュを開発した東芝が資本参加するほか、SAPやJuniper Networksらと戦略的パートナーシップを結んでいる。ハードディスク(HDD)やソリッドステート(SSD)を採用せず、NANDフラッシュをメモリモジュール(VIMM)としてRAID構成した独自設計のストレージアレイが最大の特徴となる。
VIOLIN MEMORY 日本支社長 大久保淳仁氏
日本支社長の大久保淳仁氏は「オールフラッシュ専門で10年間製品展開している企業はほかにない。2013年にNYSEに上場しワールドワイドでの実績は1000社超。国内展開も3年前から開始し導入企業は50社を超えた」と実績をアピールした。
新製品の位置付けについて「今回のプラットフォームの発表の狙いは、プライマリストレージ市場への参入だ。これまで性能重視の製品だけを展開してきたが、新製品では、容量単価を抑え、HDDベースのストレージシステムと同じように利用できるようにした。フラッシュだけで構築された“オールフラッシュデータセンター”を目指していきたい」と説明した。
大久保氏は、オールフラッシュデータセンターを構築することのメリットとして、Juniperのデータセンターでのリプレイス実績を紹介した。従来型のハイエンドなディスクアレイを使ったデータセンターでは、ラック8本、HDD436台、ユーザー容量150Tバイトを用いて総所有コスト(TCO)が5年で約4億円だった。オールフラッシュにリプレイス後は、ラック0.36本、HDDはゼロ、ユーザー容量207Tバイト、TCOが5年で約2.7億円にまで削減。性能は6万2000IOPSから350万IOPSへと飛躍的に向上したという。
今回発表されたFSPは、7300/7300E/7700の3製品。従来の6000シリーズが高IOPS、低レイテンシといった高速性能要求に応える“ティア0”ストレージだったのに対し、7300/7700シリーズは、高速性能に加え、高可用性(HA)、レジリエンシー、信頼性などの要求にも応える“ティア1”ストレージとして展開する製品となる。
7300シリーズは、100万IOPS、秒間の最大帯域幅は4.7Gバイトを実現したというシングルアレイ。重複排除や圧縮技術を使うことで最大実質容量として217Tバイトを搭載できる。7300Eシリーズは同じくシングルアレイで、58万IOPS、秒間の最大帯域幅2.3Gバイト、最大実質容量125Tバイトとなる。
Violin Memory シニアバイスプレジデント Said Ouissal氏
「3RUのサイズで、ギガバイト単価は1.50ドルだ。最新世代のMLCを活用することで、SLCに近い性能を実現している。“Pay-As-You-Grow”という容量拡張に応じて料金が上がるライセンス体系を採用し、コスト効率が高い」(米本社プロダクトマネジメント&ストラテジー担当シニアバイスプレジデントのSaid Ouissal氏)
一方、7700シリーズは“ゼロRPO/RTO”をうたうハイエンドのモジュラー型アレイ製品。HA機能として、ストレッチクラスタ構成や同期レプリケーションなどが新たに加わり、データ損失ゼロを実現するという。実質最大容量は1.3Pバイト。6000シリーズや7000シリーズからのアップグレードも可能なほか、各シリーズのシェルフを7700のアレイに混在させて利用することもできる(最大6シェルフ)。
最新のOSである「Concerto OS 7」を搭載し、管理ソフトウェアは「Symphony Management Console(Symphony 3)」となる。Symphony 3は、単一ウィンドウでクリックで操作でき、エンターブライズクラスで求められる監視や分析、レポート、ダッシュボード機能を新たに強化した。
「プライマリストレージとしての要求に応えるプラットフォームだ。レイテンシ、データリダクション、IOPSが求められるワークロードのすべてに対応する。これらをまったく妥協することなく1つに統合できる。物理環境、仮想環境、クラウドに対応し、ビッグデータ分析などの性能が求められる処理にも適している」(Ouissal氏)
国内では、マクニカネットワークス、SCSK、東芝クラウド&ソリューション、NSDビジネスイノベーションなどの販売パートナーと連携して展開する。