IDC Japanは3月19日、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)市場の産業分野別投資動向の調査結果を発表した。
IDCではIoTを「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイス(モノ)からなるネットワークのネットワーク」と定義。国内IoT市場のユーザー属性を5つの大分類と19の小分類に分けた。
2014年の国内IoT市場の売上額9兆3645億円をを大分類別の投資額割合でみた場合、最も大きいのは「製造/資源」で、市場全体の40%を超える規模だった。
また「流通/サービス」と「公共/インフラ」はそれぞれ市場の25%程度だった。「金融」と「個人」はともに5%弱の割合だった。製造/資源の売上額が大きい背景として、8割を占める組立、加工製造といった産業用ロボットや工作機械、それらを制御するための産業制御システム(Supervisory Control And Data Acquisition:SCADA)や工場向けの制御装置のPLC(Programmable Logic Controller)などを早期からIoTとして活用してきたことが関係しているという。
国内のIoT市場は2014~2019年に年平均成長率(CAGR)11.9%で成長し、2019年には16兆4221億円に達すると予測。売上額の最も大きい製造/資源セクタは、その多くを占める製造業向けのIoT市場が一巡しつつあり、同期間のCAGRは11.8%と全体の成長スピードよりも若干下回ると見込んだ。
輸送機械の運行管理や自販機の在庫管理などの用途が該当する「流通/サービス」と、電力の送電/配電監視や上下水道の遠隔保守などの用途が該当する公共/インフラは、相対的に伸び代が大きく、CAGRはそれぞれ12.2%と12.1%。全体の成長スピードよりもやや高い水準で推移するとしている。
IDCは、これまでIoTとの親和性があまり高くなかった市場に対してもビジネスを拡大するために、事業者同士の連携や、IoTを簡易的に実現するトライアル環境の構築が重要と指摘。法規制など環境の変化に対応できる体制構築を提案した。
2014~2019年 国内IoT市場 産業分野(大分類)別 売上規模予測(IDC提供)