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未知との遭遇は今後のIT部門の宿命に--PwC椎名社長 - (page 3)

大西高弘 (NO BUDGET) 怒賀新也 (編集部)

2015-03-26 07:30

グローバルで実践した案件で得た知見を生かす

 基幹系システム案件の増加も含めて、椎名氏は、コンサルティング業界は現在好況だと話す。ここに来て、企業が我慢を重ねてきたシステム投資が一気に市場にあふれ出してきたようだ。

 PwCでは、さまざまな案件に対応しながらも、特にセキュリティとビッグデータに関して注力する方針だという。両分野とも、海外ユーザーが先進的な取り組みをしていることが多いので、そうした事例から獲得した知見を日本の顧客にも展開していきたいとする。


 「セキュリティは先日、日本企業で起きた大きな事件でも分かる通り、待ったなしの課題です。限られたIT予算の中で最適なセキュリティ対策を講じていくために必要な事柄をすばやく提案していきたい。当社は金融系のお客様に対して“ドッド・フランク法(ウォール街改革および消費者保護法、Obama大統領の署名で成立した米金融規制改革法)”対応でお手伝いするというように、最先端の取り組みを手掛けています。電力の送電分離などについても実績があり、こうしたものをどんどん応用させつつ、具体的な課題解決をサポートしていきたいですね」

 海外において既に実績のある案件があることで、より現実的な対応を迅速に実現できることはPwCの強みと言える。ビッグデータなどの対応についても、取り組みを開始しながら、より効率的な運用を模索している企業は多い。

 また同様のパターンで、カジノ経営なども挙げる。椎名氏は、国会で法案が通過することを想定して日本でのカジノ経営についてのコンサルティング対応の準備を進めている。

 「カジノも含め、国内では未知のビジネスがこれからどんどん入ってくるでしょう。逆に海外に出て行ったところで新しいビジネスやマネジメント手法に出くわすこともある。つまり、これまで以上にスピーディーに解決しなくてはならない課題に突き当たる機会が増えていくわけです。われわれは、できるだけすばやく、最も効率的な方法で課題を解決する手伝いをしていきたいし、それができる体制を持っていると考えています」と椎名氏は語る。

 セキュリティ、ビッグデータ、基幹システムともに、テクノロジとマネジメントの両側面から詳細に見つめなければ実効性のある仕組みを構築することはできない。そのことを指摘する人は多いが、それを実践するには困難さがつきまとうこともまた事実だ。PwCが標榜するカテゴリーオブワンという考え方は、そうした困難な道をひた走るための必須条件と言えるかもしれない。

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