広域仮想網での次世代ネットワークアプリケーションの実験に成功--NTTなど - (page 2)

NO BUDGET

2015-04-01 17:58

 ネットワーク仮想化テストベッド上のスライスでプロトコルの“IPON”で動作するスイッチからなるIPONネットワークを構成し、そのネットワークに接続した仮想端末間でのIP通信実験を成功させた。IPON(IP over Null)はWANやLANで同一のIPアドレスを使用する新しいプロトコル。

 IPONプロトコルは冗長なアドレスをIPアドレスに統一するだけでなく、Ethernetとは異なりループ(冗長性)のあるネットワークでも正常に動作することを確認している。IPONスイッチはネットワーク仮想化テストベッド内にある機能を使用して実現したものと、ネットワーク仮想化テストベッドの機能を拡張するためのハードウェアとソフトウェアからなるプラグインアーキテクチャを使用して実現したもの、両方を使用してともに正常動作を確認している。

IPアドレスでのスイッチングの概要図
IPアドレスでのスイッチングの概要図(NTT提供)

 ネットワークのプログラマビリティを検証するためにNECは、JGN-X上の仮想化テストベッドでスライスを作成し、そのスライス内で1Gbpsを超える通信トラフィック環境でクライアントからの動画ストリーミングアクセスに対する、ソフトウェアベースの不正侵入防止システム(IPS)と“仮想OpenFlowスイッチ”での経路制御の実証実験を実施した。仮想OpenFlowスイッチ(virtual OpenFlow Switch:vOFS)は、仮想ネットワーク上に構築したOpenFlowネットワークでの仮想的なOpenFlowスイッチ。

 今回は動画ストリーミングサービスへのアクセスに対して経路制御を実施している。ソフトウェアベースのIPSでURL中の文字列をチェックして正常なアクセスであるか否かを判断し、判断情報をもとにして正常であれば正しいコンテンツサーバへ接続し、不正アクセスの場合は別コンテンツを提供するサーバへ接続するよう、vOFSで経路を制御した。

 IPSで判定済みのトラフィックについては、それ以降IPSを経由しないような経路を制御した。今回の実証実験でGbpsレベルの通信トラフィック環境でIPSとvOFSを組みあわせてトラフィックを識別し、経路を制御し、正常な場合に問題なく動画ストリーミング再生ができることを確認した。

スライス内でのIPSによる通信制御実験
スライス内でのIPSによる通信制御実験の概要図(NTT提供)

 ユーザーの位置を検知して、ユーザーが利用するデータをユーザーの近くの仮想化ノードに事前配置することで、ユーザーアクセスの応答性能の向上を図る技術の検証実験を富士通が担った。

 実験では、JGN-X上の仮想化ノードを使って通信キャリアの無線アクセスポイントやエッジノード、コアノードを模擬したネットワーク環境を構築し、ユーザーのモバイル端末が無線アクセスポイント間を移動するケースを想定して実験した。

 各仮想化ノードには“ユーザー移動先の検出”と“移動先を追随してデータ再配置”を行う通信制御アプリケーションを配備。この通信アプリケーションの連携でユーザーが移動した場合に移動先の仮想化ノードを検出し、ユーザーに近い仮想化ノードにすばやくデータを移動、配置でき、ユーザーがデータにアクセスできることを確認した。

ユーザー移動先を追随するデータ配置
ユーザー移動先を追随するデータ配置の概要図(NTT提供)

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