しっかりとしたディザスタリカバリ計画を策定していれば、危機的な状況が発生したときにシステムを復旧し、技術的な問題を解決するのに役立つ。しかし、パニック、誤った情報、風評など、技術以外の問題に対処するための備えも必要だ。
ディザスタリカバリ計画ではシステムのパフォーマンスと復旧をテストするが、災害発生時の従業員(または皆さん自身)の耐性を科学的にテストする方法はない。そのため、人的ミス、さまざまな危険のリスク、連絡の行き違いなどが発生し得る。本記事では、ディザスタリカバリの技術以外の側面に対処するために経営幹部が確認すべき10項目を紹介する。
1. 従業員は全員無事か
以前筆者の勤めていた会社で、地震が起こった。そのとき、最高レベルの幹部は全員、建物から離れた駐車場に立っていた。一方、従業員の半数はまだ建物の中にいた。そのチームを担当する幹部として、筆者は恥ずかしくなった。「自分たちはここで何をしているのか。あの従業員たちを助けるべきではないのか」。筆者はこう問いかけた。従業員は最高レベルの幹部の指示を仰ぐ。災害時はなおさらだ。最高レベルの幹部は、問題を解決する側にいる必要がある。
2. 要職に就く従業員が情緒不安定になっていないか
世界一有能な部下がいたとしても、感情面の問題で職務を遂行できないのなら、他の策を講じなければならない。これは、ハリケーン「カトリーナ」の発生時に、ある企業で起こったことだ。その企業のデータベース管理者は無事だったが、ハリケーンで家族が行方不明になっていることを知り、家族と連絡が取れない状態にあった。この管理者は不安のあまり復旧作業に集中することが困難になり、副管理者を呼ばなければならなくなった。
3. 自分は冷静さを保てているか
災害が起きたとき、従業員は経営陣の行動を手本にする。大災害の発生時ほど、経営陣が冷静さを保ち、リーダーシップを発揮することが重要になるときはない。不安な気持ちになるかもしれないが、自信と落ち着きをはっきりと示す必要がある。さもなければ、従業員がパニックに陥る可能性もある。
4. エース社員の代役はいるか
災害で主要メンバーを失い、その代わりを務められるスタッフが誰もいないことを突然気づかされた経営者を筆者は知っている。いざというときに重要な職務を引き継ぐことのできる代役がいないのなら、呼び出せば必要な作業に対応してくれる複数のコンサルタントのリストをディザスタリカバリ計画に組み込むべきだ。
5. 最高経営責任者(CEO)に状況を逐一報告しているか
多くの組織では、最高情報責任者(CIO)やディザスタリカバリ管理者と経営トップの間に何人か幹部がいるため、彼らがCEOと直接やり取りすることはほとんどない。しかし、大規模な災害が発生したときは、こうした報告に関する形式的手続きの多くが省略される。災害がITに関連するものなら、CEOと直接連絡を取れる手段を確保し、危機が続いている間、逐一状況を報告するようにしよう。顧客や株主、ビジネスパートナー、投資コミュニティーから、さまざまな質問が寄せられるだろう。CEOはそれらの質問にどう答えるべきかを把握しておく必要がある。
提供:Greg Henshall/FEMA