シンプルであることと安全の両立が強い潮流をつくる--米MasterCardの戦略 - (page 2)

大川淳 山田竜司 (編集部)

2015-04-06 07:00

Apple Payに参加、Touch IDの推進に貢献

 従来決済の業界は、4ケタの暗証番号による認証が主流で、実際、この方法に依存するしかなかったのが実情だ。カードにはPIN(Personal Identification Number)が割り振られているのだが、Appleが独自の決済サービス「Apple Pay」を始めようとした際、MasterCardに働きかけ、iOS端末に搭載される指紋認証機能「Touch ID」を採用しようということになった。消費者の間にニーズがあったからだ。

 この流れから同社は、Apple Payに参加した。Apple Payでは「iPhone 6」を用い、近距離無線通信技術の国際標準規格であるNFC(Near Field Communication)により非接触の決済が可能になったという。「Appleとは2年協業している。インフラを構築しiPhoneやiPadにより、非接触での決済など、利用しやすい仕組みを作る。当社としてもそのような顧客体験をさらに向上させていきたい」(同)と考えている。

 MasterCardはTouch IDの推進を図り、新たなパラダイムつくりに従事している。Anderson氏は「共通化されたカード会員の認証方式を用い、その方式のアプリケーションに(認証の)判断を委ねるという仕組みを採用する。そこで、どのカードを使うときでも、同一のTouch IDを使えることになる。そのための要件や標準策定に取り組んできた。Touch IDを活用するということは、それぞれのトランザクションについて、各消費者が認証する形式となるのだが、クレームはなく、満足してもらっていると思う。一方、従来のPINには、クレームがあった。番号を忘れてしまう(ので使いづらい)といった声が寄せられていたものだ。しかし、Touch IDは、指紋を用いるのだから、忘れようがない。これは興味深いことだった。これまで、一貫して、イノベーションを追い求めてきたことの背景には、セキュリティをより強固にすることと、顧客体験を高めることの両立という目的があった」と話す。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウド基盤

    「情シス不足」が生み出す2大リスク--多忙な情シス部門が手放すべき業務とは?

  2. セキュリティ

    Google Chrome Enterprise が実現するゼロトラスト セキュリティの最新実情

  3. ビジネスアプリケーション

    ITSMに取り組むすべての人へ、概要からツールによる実践まで解説、「ITSMクイックスタートガイド」

  4. セキュリティ

    あなたの会社は大丈夫?--サイバー攻撃対策として必要な情報セキュリティの早分かりガイドブック

  5. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]