Apple Payに参加、Touch IDの推進に貢献
従来決済の業界は、4ケタの暗証番号による認証が主流で、実際、この方法に依存するしかなかったのが実情だ。カードにはPIN(Personal Identification Number)が割り振られているのだが、Appleが独自の決済サービス「Apple Pay」を始めようとした際、MasterCardに働きかけ、iOS端末に搭載される指紋認証機能「Touch ID」を採用しようということになった。消費者の間にニーズがあったからだ。
この流れから同社は、Apple Payに参加した。Apple Payでは「iPhone 6」を用い、近距離無線通信技術の国際標準規格であるNFC(Near Field Communication)により非接触の決済が可能になったという。「Appleとは2年協業している。インフラを構築しiPhoneやiPadにより、非接触での決済など、利用しやすい仕組みを作る。当社としてもそのような顧客体験をさらに向上させていきたい」(同)と考えている。
MasterCardはTouch IDの推進を図り、新たなパラダイムつくりに従事している。Anderson氏は「共通化されたカード会員の認証方式を用い、その方式のアプリケーションに(認証の)判断を委ねるという仕組みを採用する。そこで、どのカードを使うときでも、同一のTouch IDを使えることになる。そのための要件や標準策定に取り組んできた。Touch IDを活用するということは、それぞれのトランザクションについて、各消費者が認証する形式となるのだが、クレームはなく、満足してもらっていると思う。一方、従来のPINには、クレームがあった。番号を忘れてしまう(ので使いづらい)といった声が寄せられていたものだ。しかし、Touch IDは、指紋を用いるのだから、忘れようがない。これは興味深いことだった。これまで、一貫して、イノベーションを追い求めてきたことの背景には、セキュリティをより強固にすることと、顧客体験を高めることの両立という目的があった」と話す。