Barack Obama米大統領が米国時間4月1日、米国の資産にデジタル攻撃を仕掛けて利益を得ようとする「悪意のあるサイバー犯罪者」に対抗するための大統領令を発表した。米国企業や政府機関のネットワークを脅かすサイバー犯罪者に制裁を科す権限が財務長官に与えられる。
サイバーセキュリティに関して2月に開催のサミットでのObama大統領
提供:James Martin/CNET
国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めるLisa Monaco氏は声明で、「インシデントに効果的に対処するには、悪質なサイバー行為の代償を大きくし、(悪質な行為の)経済的メリットを低下させるための権限が必要になる」と述べる。「これは、既存の手段に加えて、深刻な害をもたらすサイバー攻撃に従事する者を封じ、本当に痛手となるような経済的制裁を科す権限が必要であることを意味する」(Monaco氏声明)
米政府は、ハッカーが盗んだ情報から利益を得にくくなるようにしようとしている。サイバー攻撃に従事した者(個人、企業、あるいは国である可能性もある)には、米国企業との取引を禁止する制裁が科される可能性がある。個人の場合は、米国への入国も禁止される。
「今回の新しい大統領令は、われわれが直面する最も深刻で悪質なサイバー犯罪者を取り締まることを特に目的としている」とMonaco氏は述べる。「日常的に適用されるものではない」(Monaco氏)
2014年は多くの企業や個人をターゲットとした大規模なサイバー攻撃が米国全土で発生した。例えば、小売大手Targetは、1億1000万人以上の顧客のレジットカードデータをハッカーらに盗まれた。その他に、百貨店のNeiman Marcus、レストランチェーンのP.F. Chang's、クラフト用品チェーンのMichaels Stores、ホームセンターのHome Depot、オフィス用品チェーンのStaples、保険会社Anthemが被害を受けた。
中でも最も注目された事件として、2014年11月に起こったSony Picturesへの不正侵入事件が挙げられる。この事件で同社幹部らの間の電子メールのやりとり、公開予定の映画の詳細情報が流出した。このハッキング攻撃は、北朝鮮金正恩第1書記の暗殺計画を題材としたコメディ映画「The Interview」の公開が迫っていたことを受けての政治的動機に基づくものであったと考えられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。