ビッグデータとIoTで気象予測、ビジネスに活用--IBMとThe Weather Companyの提携 - (page 2)

Colin Barker (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-04-07 06:15

 クラウド/モバイルアプリ開発者向けツール:起業家やソフトウェア開発者は、WSIのデータと、IBMのクラウドアプリケーション開発プラットフォーム「Bluemix」が提供する高度なアナリティクスを使用した業務システムやインターネット接続されたデバイスおよびセンサからのデータを組み合わせて、モバイルアプリやウェブアプリを開発できるようになる。

 ビジネスおよび業務における気象関連の専門知識:両社によると、IBMの「Global Business Services」のコンサルタントを育成することにより、WSIのデータを他の情報ソースと組み合わせて業界の弱点を解明するとともに、ビジネス問題の解決に役立つ新たな洞察を提供するという。

 目指すのは、IBMのクラウドコンピューティング、コンサルティングおよびアナリティクスの経験と、WSIの気象データおよび予報を組み合わせて、さまざまな業界でより優れた気象予測ができるようにすることだと、両社は語っている。

 IBMとWSIが挙げている例には、次のようなものがある。

 保険:「ひょう」のような地味な気象問題でも、かなりの損害が伴う。保険会社は、自動車がひょうで損傷したとする保険請求に対して、毎年10億ドル以上を支払っているが、WSIの「Weather Alert」サービスとIBMのアナリティクスを合わせて活用することで、保険会社は保険契約者にテキストメッセージを送信して、迫り来るひょうについての警報と、安全な避難場所を通知できるようになる。これによって、保険契約者は損傷を受ける前に車両を移動できる。こうした洞察によって、保険会社は頻繁に降ひょうのある地域で、保険契約者1人あたりで最大年間25ドルのコストを削減できる可能性がある。合計すると年間で数百万ドル規模になると、IBMはプレスリリースで述べている。

 小売業:毎冬、降雪地域の小売業者は、暴風雪の予報が出ると食料品、シャベル、砂、塩、防寒具の売り上げが急増するというパターンに気付いていた。こうした臨時の売り上げがある一方で、このような時に消費者は家の中にとどまる傾向があるため、小売売上高は下がる。売上高への影響が深刻になる場合もある。2014年1月に極渦が発生した際、気温の低下が華氏10度(摂氏5.6度)以上だった地域では売上高が15.5%減少した。一方、気温の低下が華氏10度(摂氏5.6度)未満だった地域では、売上高の減少はわずか2.9%だった。こうした気象現象の影響に対する理解と予測が向上すれば、小売業者は必要に応じて、地域単位または全国規模で人員配置計画やサプライチェーン戦略を調整できるようになる。

 電力会社:米国の電力会社は、気温と相対湿度の上昇がエアコンの使用と電力消費量に大きく影響すると認識している。例えば、テキサス州の気温が華氏90度(摂氏32度)から華氏95度(摂氏35度)に上昇すると、1日当たりの電気料金は2400万ドル増加する。IBMとWSIは、電力会社はこのサービスを利用することで、電力消費量をより正確に予測できるようになり、過剰な発電を避けられると同時に、サービスの中断を減らし、顧客へのサービスを改善できるようになるとしている。

 The Weather Companyの会長兼最高経営責任者(CEO)のDavid Kenny氏は、The Weather CompanyとIBMの提携は、「長年にわたり気象の影響を受けてきたが、ビジネス上の成果につなげるための十分なデータや、強力な意思決定能力がなかった企業にとっては、大きな分岐点だ」としている。

IBMとThe Weather Companyは、気象予測にいっそう晴れ渡った見通しをもたらしたいと考えている。
IBMとThe Weather Companyは、気象予測にいっそう晴れ渡った見通しをもたらしたいと考えている。
提供:IBM

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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