「OpenStack」クラウドソリューションを提供する米国の新興企業Nebulaが廃業した。同社は、プライベートクラウドの構築を容易にするための企業向け製品を手がけていた。
同社は、OpenStackプロジェクトの創始者の1人であるChris Kemp氏によって2011年に設立された。その顧客にはLockheed MartinやDreamworks Studios、Sony Entertainment Networkが名を連ねていた。
Nebulaはクラウド管理基盤ソフトウェアOpenStackをベースにしたプライベートクラウド構築用アプライアンスを販売していた。これには、仮想化されたコンピュートクラウドやストレージクラウドの配備や管理を容易にするために開発されたOS「Nebula Cosmos」の稼働するx86サーバが最大40台収容されるようになっていた。
Nebulaは、MirantisやPiston Cloud Computingとともに、OpenStackをベースとする製品やサービスの販売に注力する、知名度の高い小規模企業だ。
Nebulaの経営陣は同社のウェブサイトで、廃業の理由としてOpenStack市場が成熟していない点を挙げている。
同サイトには「市場の成熟には、さらに数年かかりそうだという点に深く失望している」と記されている。
また、「ベンチャーキャピタルの支援を受けている新興企業として、われわれにはそれだけの時間を待つ余裕はない」とも記されている。
この廃業のニュースは、OpenStack関連のベンダーにとって重要な時期に飛び込んできた。Mirantisの最高経営責任者(CEO)Adrian Ionel氏は米国時間4月1日に米ZDNetに対し、プラットフォームとしてのOpenStackの将来的な成功は、大企業がOpenStackをベースとしたクラウドの配備に乗り出すかどうかにかかっていると述べている。
「OpenStackは現在、極めて重大な岐路に立っている。今はとても重要な時だ。いずれの方向に進む可能性もある。現在OpenStackは、SaaS企業と通信企業、IT企業という3つの大きな市場に多くの種をまき、良い位置につけている。今こそ、アーリーアダプター市場から、より大規模な市場に向けて展開していく時だ」(Ionel氏)
Nebula製品を用いたプライベートクラウドの運用は継続できるものの、そのサポートは停止される。
Nebulaは、新たなクラウドプラットフォームへの移行を望む顧客に向けて、同社のプライベートクラウドが、Red HatやIBM、Hewlett-Packard(HP)のソリューションを含む、さまざまなOpenStackソリューションと互換性を有していると述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。