——英国政府が最高データ責任者(CDO)を必要としていた理由は何でしょうか?
データは現代の政府において重要な地位を占めています。この分野で行われてきたことが間違っていたのであれば、私はこの仕事をやっていないと思います。われわれは最近、オープンデータという点で最も透明性の高い政府として評価されました(Center for Data Innovationが発行しているG8版オープンデータのレポート「Open Data in the G8」を参照)。Office of Policy OPGとPaul Maltby氏はDATA.GOV.UKで素晴らしい実績を築いてきています。
パフォーマンスとマネジメントにも別の側面があります。このプラットフォームは私に言わせるとユニークなものです。われわれは決して間違っていたわけではありません。各国政府がそれぞれの取り組みを進めるなかで、われわれは良い位置につけています。
われわれが取り組まなければならない課題はいずれも、ものごとの進め方に関する内部ルールにあります。CDOという比較的新しい役職に就いている人々に話を聞くと、最初の2〜3年は問題の是正のために費やされる傾向が強いと言います。例を挙げると、データはどこに保管されているのかや、どのような契約が適用されているのか、どのような標準規約にのっとってどのように使われているのか、レガシーシステムからの取得方法といったことを押さえる必要があるというわけです。
われわれにもそういった作業が待ち受けています。その点で、われわれも他の大きな連邦組織と同じです。最適な状態にある組織などありません。われわれの標準規約や契約の多くは、現代の事情にあわせて作られているわけではないのです。
われわれはデータを取り出し、同僚とともに精査することになります。現状では、相互運用という点から見て最適化されていないという事実は認めざるを得ません。今後、ユーザーやサプライヤー、エコシステム全体が理解できるような内部的な、そして外部的な標準規約の策定に向けて、政府が進んでいくうえでの方針を決めていく計画です。政府は現在、24の部署とおよそ300の機関を抱えています。それらに共通するデータの標準規約など、1つも存在しないと言っても過言ではありません。
私は批判を述べているわけではありません。これが政府の現状だというだけです。ものごとがうまく進んでいくなかで、部署やそこで働く人々を称賛することになるはずです。私はサイロをまたがって人々を引き合わせるとともに、データの標準規約を定めるために政府機関を横断し、あらゆる人と力を合わせていくつもりです。
——データの標準規約についてはどうでしょう?例を挙げると、英国におけるオフィス文書の公式標準規約として、共有用としてODFを、閲覧用としてPDFとHTMLを採用したことに批判がなかったわけではありません。
私は、ODF関連の会議の議長や、標準規約を定める評議会の委員長を務めました。その投票日には自らの力を試されているようでした。強制機能としてのデータ標準規約は、それを理解して実装するために必要となる技術スキルがあってはじめて功を奏するのです。政府が標準規約を定め、それが受け入れられるよう望んでいるだけではほとんど意味がありません。標準規約をもたらす時点からそれを実装していくうえで必要となる技術的政治力を組み込んでおかなければならないのです。
われわれ自身も標準規約を策定する必要があります。もしそれを怠れば、現時点では想像もできないような結果に見舞われるでしょう。政府内外で、そういった標準規約やデータを用いるユーザーとのオープンな対話を始め、継続していくつもりです。
われわれは、「ビッグデータ」といった魅力的な言葉を使用してしまいがちです。しかし私は、スモールデータ、あるいは単に「データ」という言葉を使うべきだと考えています。