——5年後には、どの国の政府もCDOを置くようになっているでしょうか?また、置くべきでしょうか?
いいえ。どのような政府もデータまわりで同様の要求に直面するでしょうが、CDOという役職が絶対に必要というわけではありません。Cから始まる他のほとんどの肩書きと同様、これは一時的なものに終わる可能性もあります。
——最初にCIO(最高情報責任者)で、次がCDO。政府には「Chief Wisdom Officer」(最高英知責任者)も必要なのでしょうか?
私の仕事仲間には50〜60歳台の人々が数多くいます。彼らは政府のやり方に通じています。われわれは世界中にガバナンスを輸出しましたが、それはアナログ時代に根ざしたものであり、現在の状況認識に根ざしたものではありません。データは必ずしも人に知恵を与えるわけではありませんが、われわれのシステムにおける知恵の使われ方を変えることはできます。
われわれは素晴らしい行政担当者を擁していると広く認められています。しかし、われわれの行政システムは彼らがその賢明さを示せるほど十分に現代的とは言えず、情報の連携が十分だとも言い難いのではないかと考えています。
われわれはユーザーとのつながりを失っていました。だからこそフィードバックを常に受けながら、デジタルサービスに取り組んできているのです。また、われわれはテクノロジとのつながりも失っていました。だからこそGDSを設置したのです。現在は有用なデータの流れが滞っているため、流れを作り出したうえで、それを双方向にする必要があります。この状況は、賢明な担当者がいないためではありません。システムがデータを活用するように設定されていないためです。
われわれは標準規約を持たないがゆえに、競合するデータ登録の増加を許してしまっています。同じデータが複数の場所に存在しているのです。例えば、企業情報を登録する公式の場所は決まっていません。Companies Houseが公式の場所だと見なされる場合もありますが、政府機関内では適切に使用されていません。ただDueDilといった企業は、企業サービス市場を変革するためにCompanies Houseのデータを使用しています。われわれは、どの場所のどのデータが公式なのかを決める必要があるのです。また、オープンな住所フォーマットのような基本的なことを決めていく必要もあります。
うまく構造化されたデータセットを市場に向けて公開できれば素晴らしいことが起こるとはいえ、われわれの部門自身は企業やデータの情報をCompanies Houseではなく、独自の場所に格納しています。これはサイロ化という政府文化への先祖返りであり、運用面やコスト面で大きな無駄を生み出し、われわれのプラットフォームを発展させていくうえでの妨げにもなります。
こうした意味のあるデータ標準規約によって、データの流れが生み出されます。私が所属している英国内閣府は常にデータを要求しているため、いつも摩擦を引き起こしています。しかしそれは、何もしなければデータがスムーズに流れてこないためです。誰かが悪事を働いているとか、誤った行動を採っているとか、間の抜けたことをしているわけではありません。われわれがアナログ時代を生きてきたためです。データを取り巻くこういったことは、サービスに向けたわれわれの取り組みと同程度のイネイブラーとなり、是正措置となるのです。ひょっとしたら、それ以上かもしれません。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。