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機械の人間化と人間の機械化 - (page 4)

林 雅之

2015-04-07 07:00

ウェラブルは小型化し、人間の皮膚の一部になるか

 これまで紹介してきたウェアラブルデバイスは人間の身体に装着する形態だが、より人間の身体との融合も進んでいる。

 Googleと医薬大手のNovartis Pharmaは2014年7月、スマートコンタクトレンズでの提供を発表し涙からリアルタイムでの血糖値測定や老眼用の度数変更など、5年以内の実用化を目指している。


出所:Google http://googleblog.blogspot.jp/2014/01/introducing-our-smart-contact-lens.html

 MC10は、直接肌に貼ることのできるウェアラブル電子皮膚「BioStamp」を開発した。BioStampは、体温や心拍数、さらには脳波や筋肉の動きのデータなどをモニタリングでき、健康管理やストレス状況把握、リハビリテーションでの活用などの活用が想定される。


出所:MC10 http://www.mc10inc.com/

機械により人間の身体機能を拡張する

 身体に装着し、身体機能を改善・補助・拡張する装着型ロボットが介護や福祉分野を中心に広がりを見せようとしている。

 筑波大学発のベンチャー企業のサイバーダインは世界初のサイボーグ型ロボット「HAL(Hybrid Assistive Limb)」を開発した。HALは、脳卒中や脊髄損傷で足が不自由になった患者の足に装着し、その動きを読み取り行動を補助する。

 3月25日には厚生労働省に医療機器として製造販売の承認申請をしており、承認されれば国内初の医療用装着型ロボットとなる。


出所:サイバーダイン http://www.cyberdyne.jp/

 機械による人間拡張の動きは、スポーツの分野でも広がりをみせようとしている。

 2016年10月にスイスで開催される最先端のロボットやウェラブルデバイスを装着した障害者スポーツ選手たちが競う競技会「サイバスロン」が開催される。

 人間の脳波を解析して脳活動情報から、身体を介さずにマシンを制御する技術ブレインマシンインタフェース(BMI)でアバターを操作する「脳インターフェースレース」や、義足によるタイムを競う「強化型義足レース」、障害物を走る「強化型外骨格レース」など計6競技が行われる。


脳インターフェースレース 出所:http://www.cybathlon.ethz.ch/


強化型義足レース 出所:http://www.cybathlon.ethz.ch/

強化型外骨格レース 出所:http://www.cybathlon.ethz.ch/

 強化型義足レースの場合、障害者スポーツ選手の最新のテクノロジを駆使した強化義足の使用により、障害者と健常者との境目が曖昧になり、例えば強化型義足を使うことで、100メートル走で現在の世界記録を超える記録が出る可能性も十分に考えられるだろう。

IoH(Internet of Human)の世界へ

 ウェアラブルデバイスをはじめ、さまざまな機器が人間の身体とつながるようになり、インターネットを経由してさまざまな情報との連携するIoH(Internet of Human)の世界が始まろうとしている。

 一方で、IoHが進むことによるプライバシー侵害や、人間自身の判断力を鈍化させる可能性など、多くの課題も出てくることも想定される。

 人工知能やロボットなどによる「機械の人間化」と、人間拡張による「人間の機械化」。これらのテクノロジの進化は、これからの人間そのもののあり方と行動を大きく変えていく可能性を秘めている。

林 雅之
国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。

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